やっぱし舞台が好き!

芝居、ミュージカル、バレエ、ダンス、クラシック、コンサートなどの舞台観賞が大好きです。 観劇の個人的な感想をつらつらと書いてます。 たまに、ちょっとした体験談や気になったことも・・・。

【観劇】お勢、断行

お勢、断行

お勢、断行

原案: 江戸川乱歩
作・演出: 倉持裕
出演: 倉科カナ、福本莉子、大空ゆうひ、江口のりこ、池谷のぶえ、正名僕蔵、梶原善、千葉雅子、堀井新太、粕谷吉洋
観劇日: 2022年5月16日(月) 19:00
上演時間: 2時間(休憩なし)
劇場: 世田谷パブリックシアター
チケット代: S席 7,500円(2階A列) [パンフレット代:1,500円]


【感想】

2年前(2020年2月)、初の緊急事態宣言発令により、開幕直前になって全公演が中止になった舞台。
一部のキャストが変更されましたが(上白石萌歌さんが福本莉子さんに、柳下大さんが堀井新太さんに)、今回はひとまず幕が上がってホッとしています。
地方公演含め、全公演がつつがなく上演できることを祈るばかりです。

以前(2017年)、同じく倉持さん演出の『お勢登場』も観ましたが(そういえば『お蘭、登場』っていうのも観たっけ……ややこしい)、てっきりこの舞台も江戸川乱歩原作かと思いきや、お勢を題材にした倉持さんのオリジナル作品だとか。だから江戸川乱歩”原案”になっているのか。
セリフの口調なんかも、とても江戸川乱歩っぽくて。

千代吉にはかなりの資産がありますが、時折、暴力的になり、後妻の園(大空ゆうひさん)にも手を上げる始末。
ある日、寄付金目当てに屋敷を訪れた代議士の六田(梶原善さん)は、灰皿で頭を殴られて怪我をしてしまいます。
腹を立てた六田は、園と結託し、千代吉を狂人にしたて、精神病院へ入院させようと目論みますが……。

千代吉は声だけで、舞台には登場しません。
そして、お勢(倉科カナさん)は、この屋敷に身を寄せている女流作家という役どころ。
身を寄せた経緯なんかは、含みを持った描き方しかしていませんが、ここらへんは『お勢登場』のお勢を知っていると、容易に想像がつくでしょう(まあ知らなくても、倉科カナさんの纏っている雰囲気でわかるでしょうが)。
千代吉を精神病院へ幽閉させる計画には、病院長(正名僕蔵さん)や女中(江口のりこさん)なども巻き込んでいきますが、お勢はそれには参加しません。
なので、主人公の割には意外と登場シーンは少ないんですが、冷静に高みの見物をしているのが却って不気味で……でも倉科カナさんが、それを妖艶に演じています。

セットはボックス型の装置が3つあって、それがいろいろ移動して場面を作り出しています。
ボックスの屋根にも上がれるようになってるんですが、お勢は上からの登場が多くて、みんなの争いを見下ろして楽しんでいるという感じがします。
上り下りには、結構な段差の階段を使うんですが、倉科カナさんは着物姿で難なくこなしていて(しかも手すりもなし)、やっぱ体幹とかバランスとかが凄いんだろうなと感心して観てました。

さて、千代吉を助けたいと思っているのは、娘の晶(福本莉子さん)と姉の初子(池谷のぶえさん)だけ。
でも初子の方は、心配や愛情からというよりは、千代吉からもらえるお小遣い(金銭的援助)がなくなる恐れがあるからという打算的な理由です。
だから後妻の園(大空ゆうひさん)と揉めたりするんですが、そのやり取りが面白い!
池谷のぶえさんの本領発揮といった感じです。

先に書いたように、ある意味、主人公が脇役になるようなストーリー展開なので、他のキャストもそれぞれの見せ場があるように構成されています。
私は特に、終盤、看護師役の千葉雅子さんが、淡々と語るシーンがとても印象に残りましたね。

お勢が何を”断行”するのか?
最後は、やっぱりお勢が主役だったねという終わり方でした。


※ この日は終演後にアフタートークがありました。
登壇者は、倉科カナさん、池谷のぶえさん、正名僕蔵さんで、正名僕蔵さんが進行役でした。
2年を経ての上演に対する思いや舞台裏の話など、十数分だけでしたが、興味深い話を聞くことができました。
特に、正名僕蔵さんは、杖をついている役なんですが、そうなった理由は、暴走する六田(梶原善さん)を止めようとする時、何もないと簡単に止められてしまいそうなので、杖をついていたらどうかと倉持さんに進言したとか。なるほど。
正名僕蔵さんが、世田谷パブリックシアターに初めて立ったというのもビックリです。

【展覧会】ヨシタケシンスケ展かもしれない

ヨシタケシンスケ展

開催期間: 2022年4月9日〜7月3日
場所: 世田谷文学館
入場料: 1,000円

【感想】

私には小さい頃、絵本を読んでもらった記憶がない。
だからと言って、虐待されていたとかネグレクトされていた訳ではありません。
おそらく私が忘れているだけだろうと思うんですが。
だから、有名な『ぐりとぐら』とか『スイミー』とかも、いまだにどんな話なのか知りません。

で、基本、絵本に興味がなかった私が、大人になって「面白い!」と思ったのがヨシタケシンスケさんの本でした。
特に感銘を受けて購入してしまったのが『このあとどうしちゃおう』
亡くなったおじいさん(絵本の中での話)が、生前、密かに描いていた"楽しい"死後の世界を孫が見つけて読むという話です。
「このあとどうなるの?」ではなくて「どうしちゃおう」というのがいいですよね。

前置きが長くなりましたが、そんなヨシタケシンスケさんの作品展覧会が、世田谷文学館で開催されています。
世田谷美術館には行ったことありますが、文学館というのがあるとは今回初めて知りました。

展示内容は、学生時代に作成した造形などもありますが、基本はスケッチが多いです。
しかも小さい!(笑)
A6サイズより小さなアイデアスケッチが壁一面に貼ってあります。
どれもクスッと笑えて面白いんですが、老眼の目にはちょっと厳しいかも
ヨシタケシンスケ展 ヨシタケシンスケ展

また、ちょこちょこ置いてある吹き出し人形が、これまた可愛い。
ヨシタケシンスケ展 ヨシタケシンスケ展 ヨシタケシンスケ展

目の付け所も秀逸だし、大人も子供も楽しめる展覧会になってました。
最後は、出口のところに、こんなお楽しみが!
私が何を引いたのかは内緒にしておきます。
ヨシタケシンスケ展

【観劇】みんな我が子

みんな我が子

作: アーサー・ミラー
演出: リンゼイ・ポズナー
翻訳: 広田敦郎
出演: 堤真一、森田剛、西野七瀬、大東駿介、伊藤蘭、山崎一、栗田桃子、金子岳憲、穴田有里、鳴海竜明
観劇日: 2022年5月11日(水) 13:30
上演時間: 1幕(1時間) / 休憩(20分) / 2・3幕(1時間25分)
劇場: シアターコクーン
チケット代: S席 11,000円(F列) [パンフレット代:1,800円]


【感想】

タイトルだけ見ると(チラシの写真も)、アットホームで明るい話なのかなと思ってしまいますが、全く違っていて。

第二次世界大戦中、戦闘機の部品などを作る工場を経営していたジョー(堤真一さん)。
その時の特需で、今は裕福な暮らしをしていますが、妻のケイト(伊藤蘭さん)とともに、いまだ戦争から戻らない次男の帰りを待っています。
ある日、長男のクリス(森田剛さん)は、次男の婚約者であったアン(西野七瀬さん)に結婚を申し込もうと家に招きますが、そこにアンの兄・ジョージ(大東駿介さん)が現れ、戦争中に起きた両家の秘密について話し始め……。

1幕の最初の方は、まだ状況が掴めない上に翻訳モノ特有の台詞回しが頭に入ってこず。
加えて、近くのおばさんが、何やらビニル袋をくしゃくしゃやる音が耳障りで(本人は何とか静かにやろうとしているのでしょうが)、なかなか集中できませんでした。
しかし、話が戦争中に起きた不良品隠蔽のことに至ると、物語がぐんぐん加速して、おばさんのゴソゴソ音も気にならなくなるくらい(いや気にしとるがな)。

特に2幕から登場する大東駿介さんが、台風の目になって、舞台を一気に緊張状態に持っていきます。
真実を問いただそうと鬼気迫る様子で登場しますが、ケイト(伊藤蘭さん)やジョー(堤真一さん)に会うと、以前からの付き合いもあるため、怒りを押し殺して対応してしまうみたいな感情の機微が見事でした。

森田剛さんは、最近は荒くれた役が多い印象(私だけ?)がありましたが、クリスはなかなかアンに告白できない恥ずかしがりの性格で。
そう言えば、髭のないお顔を拝見したのも久しぶりかも

堤真一さん、伊藤蘭さんらは、さすがの存在感でしたが、西野七瀬さんがなかなかの好演!
若干たどたどしさが残っているところもありましたが、滑舌もいいし声も通るし、演技も変に気負ってないし(前回拝見したのは新感線の『月影花之丞大逆転』でしたが)、とても好感が持てました。

70年以上も前の作品ですが、現代でも通じる内容で、色々と考えさせられる話でしたが、ラストは…………この日の朝、上島竜兵さんの訃報を知ったばかりだったので……やりきれなさが残るエンディングでした。

【観劇】ケダモノ

ケダモノ

作・演出: 赤堀雅秋
出演: 大森南朋、門脇麦、田中哲司、荒川良々、あめくみちこ、清水優、新井郁、赤堀雅秋
観劇日: 2022年4月26日(火) 13:00
上演時間: 1時間55分(休憩なし)
劇場: 本多劇場
チケット代: 7,800円(I列) [パンフレット代:1,500円]


【感想】

不良中年(赤堀雅秋さん、田中哲司さん、大森南朋さん)が集まって、コンプライアンスなんか無視してクズ男たちを描き切った舞台です。← 賞賛してます(笑)。

ある田舎でリサイクルショップを経営している手島(大森南朋さん)は、従業員の出口(荒川良々さん)と木村(清水優さん)、そして店に出入りする自称・映画プロデューサーのマルセル(田中哲司さん)らとつるんでキャバクラに行ったり、馬鹿話をする毎日です。
ある日、父親の遺品を整理したいとの依頼を受け、節子(あめくみちこさん)の家を訪れますが……。

登場する男どもが、揃いも揃ってクズで下品な野郎ばかり。
特に東京五輪でコンドームが配布されるというニュースについて話すくだりは、その国の人たちが聞いてたら気を悪くするだろうって内容です。

タバコをふかすシーンも多くて。
赤堀さんの舞台は、もとから喫煙シーンが多かったですが、今回はひっきりなしに誰かが吸ってる感じです。
結構、後方まで煙の匂いがしてたんじゃないかな。

何だか、テレビやSNSで憚れることをブワッと吐き出してやったぜって言ってるみたいです。
だから、もしかしたら、こういうのが嫌いという人も少なからずいるかもしれません(私は好きというわけではないですが、アリだとは思ってます)。

そんなクズたちの筆頭が出口(荒川良々さん)。
舞台で観てる分には笑えますが、実際にいたら、かなり危ない奴で一番怖い。
こういう危な面白い役を演らせたら、荒川良々さんはピカイチですよね(単純に面白い役もいいですが)。
それに惹かれちゃう節子(あめくみちこさん)の気持ちは、残念ながら、私にはわかりませんけど(笑)。

大森南朋さんも、『ちむどんどん』『私の家政夫ナギサさん』穏やかキャラは封印して、ちょいワルおやじ(とは言っても全然お洒落じゃないですが、個人的にはこっちの方がしっくりきます)を演じています。
やる気がなくて、気だるい雰囲気は、彼がどんな生き方をしてきたのかが透けて見えてくるようです。

いつもは一番の危険人物を演りそうな田中哲司さんが、怪しげではあるけれど、一番マトモだったかも。
それは、タバコはやめたと言って、劇中、一回も吸わなかったからかな?

門脇麦さんは、フィリピン人(母親)とのハーフのキャバ嬢として登場します。
DVの父親とか無戸籍とか、大変な事情を背負っている故の”諦めに対する閾値の低さ”みたいなのが滲み出ていて、そのへんは流石だなと思って観てました。
でも、いつかはパスポートを取得して(戸籍がないから闇で?)、母親の故郷へ行く夢を持っていて。

それが、最後の超悲劇的なカタストロフィの中での唯一の救いになったのかもしれません。



※ 舞台とは全然関係ないですが。
下北沢駅前の高架下が再開発されていてビックリ!
下北沢
本多劇場へ、直線でアプローチできるようになってました!
多くの飲食店やツタヤなんかが入っていて。まだこれからできるお店もあるみたい。
キレイなトイレもあって、下北沢へ行くと密かに悩んでいたトイレ問題も解決です。

【観劇】広島ジャンゴ2022

広島ジャンゴ2022

作・演出: 蓬莱竜太
出演: 天海祐希、鈴木亮平、仲村トオル、野村周平、中村ゆり、藤井隆、芋生悠、宮下今日子、池津祥子、北香那、土居志央梨、辰巳智秋、本折最強さとし、江原パジャマ、川面千晶、エリザベス・マリー、小野寺ずる、筑波竜一、木山廉彬、林大貴
ミュージシャン: 熊谷太輔(Dr)、河村博司(Gt)
観劇日: 2022年4月19日(火) 18:30
上演時間: 第1部(1時間10分) / 休憩(20分) / 第2部(1時間20分)
劇場: シアターコクーン
チケット代: S席 11,000円(H列) [パンフレット代:2,000円]


【感想】

最近、思わぬところで話題になってる蓬莱竜太さん(笑)。
私は、蓬莱さんの描く日常の現代劇が好きなんですが、『渦が森団地の〜』とか『首切り王子と〜』といったちょっと毛色の変わったのも、これはこれで好きです。
今回はチラシにも「異色のニュー・ウエスタン活劇?!」とあったので、コメディなのかと思いきや、ロビーにはこんな注意事項があって……。
注意事項

ストーリーや設定は全然違いますが、『渦が森団地の〜』(これにも鈴木亮平さんが出てましたね)と非常に良く似たテイストを感じました。

舞台は現代の広島にある牡蠣工場。
引っ越して日が浅いパートタイマーの山本(天海祐希さん)は、何か過去を背負っているようで、皆の輪に溶け込めずにいます。
ワンマンな工場長(仲村トオルさん)のご機嫌とりのために行う休日の懇親会にも参加できないと言い、調整役の木村(鈴木亮平さん)は困り果てていますが、ある日、木村が目を覚ますと、そこは西部の町「ヒロシマ」になっており……。

冒頭に牡蠣工場のシーンがありますが、その後はずっと西部劇調で、鈴木亮平さんが何故か馬(しかも喋れる)になってたりして、「なんじゃこりゃ?」な世界。
最初は鈴木亮平さん同様、戸惑ってしまいますが、だんだんその状況を受け入れてしまいます(笑)。

扱っている題材は、素直に観るとブラック企業とかDVとか同調圧力とかなんですが、今の世界情勢を思うと、町の支配者(仲村トオルさん)の独裁的な姿にプーチンを重ねてしまうところもあります(何処かへ侵攻するってことはないですが)。
途中、町の人々が反旗を翻した時に、仲村トオルさんが演説(反論)するんですが、その内容に少なからず頷ける部分もあって、そう思ってしまうところに、また怖さを感じたりもしました。

タイトルの「ジャンゴ」とは、西部劇中の天海さんの名前で、ガンマンの出立ちはまさに眼福
最後の立ち回りもカッコ良くて!
ただ、現実世界も西部劇中も影を背負っているので、『女王の教室』くらい笑顔を見せません(カーテンコールでは満面の笑みを見せてくれましたが)。

その分、馬になった鈴木亮平さんが、場を和ませてくれます。
ハンドカラオケでラップを披露してくれたり(ちょっと何言ってるかわからないところもあったものの)、狂言回し的な役も担ったりと忙しいです。
でも、木村(鈴木亮平さん)にも悲しい過去があって……そのシーンの土居志央梨さんの演技が身につまされました

西部劇中では、”悪は滅びる”的な結末を迎えますが、現実に戻った世界ではそんなにうまくいかず。
結局、何も変わらないのかもしれませんが、それでも清々しさが残るエンディングでした。


※ 先日、WOWOWオンデマンドでライブ配信やってたんですが、初見は生で観たくて我慢しました。我慢してよかった。

【観劇】セールスマンの死

セールスマンの死

セールスマンの死

作: アーサー・ミラー
翻訳: 広田敦郎
演出: ショーン・ホームズ
出演: 段田安則、鈴木保奈美、福士誠治、林遣都、鶴見辰吾、高橋克実、町田マリー、皆本麻帆、安宅陽子、前原滉、山岸門人
観劇日: 2022年4月12日(火) 13:00
上演時間: 第1部(65分) / 休憩(20分) / 第2部(75分)
劇場: PARCO劇場
チケット代: 11,000円(F列) [パンフレット代:1,500円]


【感想】

一昨年(2020年)のスジナシで、舞台進出にも意欲を見せていた鈴木保奈美さん。
段田安則さんもお久しぶりですね。
設定は1950年のアメリカですが、つい最近の日本の話かと思うような内容で……。

ウィリー(段田安則さん)は地方を旅するセールスマン。
しかし、もう63歳で、かつてのような成績も上げられず、給料も減らされて、さまざまなローンの返済にも困っている状況です。
二人の息子(福士誠治さん、林遣都さん)は30を過ぎても、まともな仕事に就かず、家族の関係は微妙になっています。
そのせいもあるのか、最近のウィリーは独り言も多く……。

アメリカって、広い家に住んで、仕事も合理的にステップアップしていくみたいな印象を持っていたので(まあでもよく考えれば、そんなアメリカ人ばかりじゃないはずだけど)、何十年も同じ会社で、しかも条件が悪いのに居続けるっていうのが、とても日本的に見えてしまいました。
家のダイニングキッチンもアメリカっぽくなくて。
細かいですけど、キッチンの戸棚が開き戸じゃなくて引き戸になっているところとか。
まあそれはさておき。

老兵”って言葉がありますが、ウィリーはまさにその状態。
鬱なのか認知症なのか、しばしば差し込まれる妄想とも思い出とも取れるシーン。
会社のため、家族のために働いてきた男の悲哀が滲んで、いたたまれなくなってきます。
唯一、妻(鈴木保奈美さん)だけが、ずっとウィリーの味方であり続けているのが救いだったかな。
でも、それもビフ(福士誠治さん)との関係が悪化した原因を知らないからだけかも。

舞台の中央には、黄色い冷蔵庫が置かれていて、それは幸せな家庭の象徴のようにも思えますが、エンディングでは……。

近年、”老害”なんて嫌な言葉が流行ってますが(確かに老害と呼びたくなる行為も多いでしょうけど)、これまで頑張ってきた人に対して、もっと優しくしてあげてほしいと、老兵になりつつある私は思うのでした。


※この作品って、最近では風間杜夫さんが演ってましたよね。NHKで放送していたのを録画してたはずなので、あとで観てみようと思います。

【観劇】もはやしずか

もはやしずか

もはやしずか

作・演出: 加藤拓也
出演: 橋本淳、黒木華、平原テツ、安達祐実、藤谷理子、天野はな、上田遥、松井周(声)
観劇日: 2022年4月5日(火) 14:00
上演時間: 2時間(休憩なし)
劇場: シアタートラム
チケット代: 7,000円(XC列:向正面) [パンフレット代:2,500円]


【感想】

加藤拓也さんの舞台は、とても嫌〜な気分にさせられる(そこがいい)ものが多いんですよね。
前回の『ぽに』はちょっとシュールすぎましたが……。
今回は元に戻って、とても現実的で、そしてとても嫌〜な気分にさせてもらいました(笑)。

康二(橋本淳さん)には、幼い頃、自閉症の弟を自分の不注意で事故死させてしまったというトラウマがあります。
現在は麻衣(黒木華さん)と結婚していますが、なかなか子供に恵まれず、麻衣は不妊治療を続けています。
そんな中、念願かなって妊娠しますが、ある日、出生前診断で1/2の確率で障がいのある子供が生まれてくる可能性があると告げられ……。

いやあ、とにかく台詞回しがめちゃくちゃリアル!
まるで台本などないかのような自然な会話をする演者さんたちの見事なこと!

冒頭、康二の両親(平原テツさん、安達祐実さん)が、自閉症の息子を保育園(幼稚園?)に預けるため、保育士(藤谷理子さん)と面談するシーンで始まりますが、なかなか会話が噛み合いません。
というか、保育士は、話をはぐらかそうとしているようにも見え、はっきりとしたことを言いません。
それなのに、時折、「もっと愛情を」とか「コントロールできるように」とか、側から聞いてても「ん?」と思うような発言をしたり。
そういう何気ない台詞が、「ああ、こんな人いるいる」って感じで。
そして、ここらへんから、もう嫌〜な空気が漂ってきます(暗転の時の耳障りな音効も含めて)。
この保育士さん、後半でも登場しますが、KY発言連発で……逆に、この人には本当に確固たる信念があって、それに至る壮絶な過去があったんじゃないかと思えるくらいでした。

それにも増して、夫婦で言い争う場面が、まためちゃくちゃリアルで!
自閉症の息子が言うことを聞かない時の平原テツさんと安達祐実さんの喧嘩。
障がいのある子が生まれてくる可能性を知った時の橋本淳さんと黒木華さんの会話。
どちらも男は理屈で、女は感情でモノを言ってるように聞こえます。
よく言われる「男はお腹を痛めて産んでないから」ってことでしょうか。
だから男はどこか他人事のように見え、女は逆に冷静さを欠いているようにも思えてしまいます。
安達祐実さん、黒木華さんは、感情が昂って泣き出しちゃうんですが、まあもうそれが……。
昨今の風潮で、男・女と決めつける発言はよくないのでしょうけど。
私はどうしても男性目線で見てしまいますので、女性陣が時折見せる”言葉尻を捉える攻撃”(何気なく言った「わかった」を「何がわかったの」と問い詰めたり)に、平原テツさん・橋本淳さん同様、「そうじゃないんだよな」とイラッとしてしまったり。
でも実際のところ、本人は何気なく放ったつもりの相槌には本心が表れていて、女性はそこを見逃さないんじゃないかと。
つまり、核心をつかれてるから、イラッとするんじゃないかと思ったりもします。

さて、この舞台のテーマは、障がいのある子(生まれてきた子、生まれてくる子)への対応とか出生前診断の是非なんでしょうか?
それにしては、掘り下げ方がかなり浅いようにも感じます。
出生前診断でどこまでわかるの?とか、障がいのある子を育てる”幸せ”の面とか、もっと色々あるんじゃないかと。

それとも単なる夫婦の価値観の違いを描きたかったんでしょうか?
それにしては、麻衣(黒木華さん)の行動にいささか疑問を感じるところがあります。
見も知らぬ他人に精子提供を求めたり(旦那には問題ないはず?)、生まれてきた子が障がいがなかったからといって復縁しようとしたり(しかも旦那の両親に先に相談しに行ったり)。

どんな結論を下したとしても、あまりいい結果になならないんだろうなと思わせるような、最後まで嫌〜な余韻(そこがいい)が残った舞台でした。

【劇場も好き】新国立劇場 中劇場

客性が扇型に広がった劇場で、横に長い!という印象。
一列が長いため、列中央の席だと出入りするのがちょっと大変。



観やすさ:★★★★★
  • 前方の席は前の人の頭が邪魔になるかもしれないが、中通路より後ろは適度な段差があるため、ほとんど邪魔にならない。
座りやすさ:★★☆☆
  • 背もたれの高さは丁度いい。
  • 全席にクッションが備え付けられているが、椅子は少し固め。
  • 脚は伸ばせるほどの余裕はない。
アクセス:★★★★
  • 新宿から1駅の初台駅から直結。
  • 新宿から乗る時、京王線ではなくて京王新線に乗らないとダメという引っ掛けが。
ホワイエ:
  • 丁度いい広さ。
  • 全面ガラス窓で明るくて気持ちいい。
  • 中劇場に至る新国立劇場のロビーのアプローチもいい感じ。
トイレ(男性用):☆☆☆
  • この規模の劇場にしては個数は少ない(温水洗浄便座ではあるが)。
総合評価(個人的な好み):★★★
  • 観やすくていい劇場だが、大劇場で小劇場の芝居を観るようなスケール的な違和感がある。何故だろう?
新国立劇場中


【観劇】奇蹟 miracle one-way ticket

奇蹟

作: 北村想
演出: 寺十吾
出演: 井上芳雄、鈴木浩介、井上小百合、大谷亮介、瀧内公美、岩男海史
観劇日: 2022年3月23日(水) 14:00
上演時間: 1時間42分(休憩なし)
劇場: 世田谷パブリックシアター
チケット代: S席 10,000円(F列:最前列) [パンフレット代:800円]


【感想】

まずは、井上芳雄さんが無事に回復されてホッとしました。

物語の舞台は、現代の日本。
私立探偵・法水連太郎(井上芳雄さん)は、ある日「キキュウノイライアリ」というメモを残し、どこかへ出かけてしまいます。
メモを見つけた親友で医師の楯鉾寸心(鈴木浩介さん)は、あとを追いかけ、森の中で倒れている法水を発見して介抱しますが、目を覚ました彼は記憶を失っており……。

というあらすじなんですが、ここまでの話は、舞台上では演じられません。
冒頭、鈴木浩介さんがストーリーテラーとして登場し、観客へ語りかけた後、記憶を失った法水へ経緯を説明するといった体で話を聞かせます。

「キキュウノイライ」とは何か?誰が依頼したのか?
法水と楯鉾がシャーロックとワトスンばりに、この謎解きに挑んでいく様を軸に物語は進んでいきますが、本格ミステリーというわけではなくて、コメディ要素も随所に散りばめられていて。
主演が井上芳雄さんということで、記憶を無くしているにも関わらず、唐突に「もしかして、僕は歌が好きだったんじゃないか?」などと言って、3曲も美声を披露してくれるあたりは、もう完全にファンサービスだったし!

一方で肝心の謎の方は、ちょっとわかりにくくて……。
法水は記憶を無くしていても、"延髄"で推理しちゃうので、そのへんは問題ないんですが。
プラズマとかフィフス・エレメントとか、科学なのかスピリチュアルなのか分からない要素も出てくるし。
途中、宗教批判?みたいな(酷い目にあっている人はたくさんいるのに、神は助けてくれないみたいな)、少し重めの話にもなったりして。
結局、法水の記憶喪失は最後まで治らないんだけれど、事件は一応解決して楽しいエンディングを迎えるし。
なんかとても不思議なテイストの舞台でした。

不思議といえば、舞台が通常のステージから大きく半円状に張り出していて、だからF列が最前列になるんですが、張り出した割に、舞台後方はほとんど使わないという演出で。
何で多くの客席を潰してまで、あんなセットにしたんだろう?
まあその分、近くで観られて良かったんですが(笑)。

【観劇】裏切りの街

裏切りの街

作・演出: 三浦大輔
音楽: 銀杏BOYZ
出演: 髙木雄也、呉城久美(奥貫薫)、萩原みのり、米村亮太朗、中山求一郎、村田秀亮、日高ボブ美
観劇日: 2022年3月15日(火) 12:00
上演時間: 第1部(1時間35分)/休憩(20分)/第2部(1時間15分)
劇場: 新国立劇場 中劇場
チケット代: 10,800円(14列) [パンフレット代:2,000円]


【感想】

2年前、コロナで中止になった舞台(初演は2010年)が、いよいよ再開です。
今回は、残念ながら奥貫薫さんが陽性になってしまいましたが……。

フリーターの裕一(髙木雄也さん)は、OLの里美(萩原みのりさん)と同棲中。
バイトを無断欠勤し、母親から電話がかかってくるも、仮病を使ってその場をやり過ごすという怠惰な生活をしています。
そんな中、マッチングアプリで知り合った主婦・智子(呉城久美さん)と浮気を繰り返すようになりますが……。

ジャニーズの方が主演ということで、会場の9割以上は女性客。
予想はしていましたが、かなり圧倒されてしまいました。
それにしても、ジャニーズの方が三浦大輔さんの舞台に出演するのって、なかなかにリスキーというか、チャレンジングですよね。
だいたい濃厚な濡場があるし、主人公はクズかダメ人間かだし。

今回の主人公・裕一は、クズというよりはダメ人間の方。
喋り方、歩き方からしても、無気力感満載です。
ここらへん、髙木雄也さんがジャニーズのキラキラ感を見事に消して演じてましたね。
ポスターやチラシではスタイリッシュな感じでしたが、舞台では、前髪も目が隠れるくらいに垂れ下がっていたので、猫背と相まって、より暗さや卑屈さが際立って見えました。
ただ、無気力な性格に比べて、下半身の方はかなりバイタリティに溢れていて……このアンバランスさに若干の違和感を感じることもありました(これはキャラ設定の問題だと思うんですが)。
アンバランスと言えば、無断欠勤したバイト先にも電話できないくらい、嫌なことから逃げてばかりなのに、智子の旦那(村田秀亮さん)に呼び出されたらきちんと会いに行くし、智子が妊娠したと分かった時も「責任を取る」みたいなことを言うし、ちょっとは骨のあるとこも見せるじゃんとも思ったんですが。
いやでもコレって、とりあえず目の前のことをやり過ごすための究極の「逃げ」なのかもしれないですね。

さて、相手役の呉城久美さんですが、これがもうホントに良かったですね。
なんと言うか、まさに地味な主婦って感じなんですが、妙な色気があって。
舞台上では42歳ってなってましたが、実年齢は35歳くらいなので、まあ若く見えるのは当然なんですが。
奥貫薫さんの代役とのことですが、見事にハマってましたねぇ。
逆に奥貫さんだとどうなるのかも観てみたくなりました。
旦那との微妙な関係性も、少ない情報量から十分に想像できましたが、旦那役の村田秀亮さんもいい味出してましたね。
智子のお茶碗を洗ってあげたり、旅行を計画したり、とても優しそうな反面、智子が観ている好きなお笑い番組を「くだらない」と言って勝手に変えたりして(智子がお笑い好きとは知らず)。
智子も旦那に対して、いつも敬語でよそよそしく接していて、決して仲が悪いわけではないけど、分かり合ってないというのが如実に伝わってきました。

二幕では、タイトルにある「裏切り」が明らかになってきます。
それとともに、それまで裕一や智子の無気力で卑屈な姿にイラつきを感じていたのが、だんだん微笑ましくも思えてきたりして……。
それは、要領の良さとかマトモさより、不器用でも自分に正直(単に意志が弱いだけ?)な二人に、ほんのちょっとだけ共感してしまったからかもしれません。
写真AC
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※ 資料用としてアップしたものも多いので、「何じゃこりゃ」って写真も多々ありますが。
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