作: アナ・ジーグラ
演出: サラナ・ラパイン
出演: 板谷由夏、神尾佑、矢崎広、宮崎秋人、橋本淳、中村亀鶴
観劇日: 2018年4月17日(火) 14:00
上演時間: 1時間45分(休憩なし)
劇場: シアターウエスト
チケット代: 8,500円(C列) [パンフレット代:1,200円]
【感想】
題名だけ聞いた時は、写真家の話かと思ってました(笑)。
ユダヤ系イギリス人科学者・ロザリンド(板谷由夏さん)は、DNA構造の謎を解明するために、ロンドンのキングスカレッジに特別研究員としてやってきます。
しかし、同僚のウィルキンズ(神尾佑さん)は、彼女を助手として扱おうとしたため、二人の間に亀裂が生じてしまいます。
その後、ウィルキンズは何とか仲直りをしようと試みますが、うまくいかず、二人の関係性はそのまま研究の進み具合にも影響してしまいます。
ある日、ロザリンドはDNAのX線写真(PHOTOGRAPH51と呼ばれる)の撮影に成功しますが……。
DNAの「二重らせん」構造解明に至る史実に基づいたフィクションだそうです。
女性(しかもユダヤ人)が、自由に研究に没頭できる環境になかった時代です。
その苛立ちや反骨を秘めた姿を、板谷由夏さんがキリリッと演じていました。
他の登場人物も、全員が科学者。
科学者なので、論理的に(かつ冷静に)ものごとを判断するかと思いきや、そうでもない。
純粋に謎を解明したいと思う一方、解明して名を馳せたいという欲を見せる彼らの人間模様も、とても興味深いものでした。
リチャード・ドーキンスは「生物それぞれの個体は、遺伝子の乗り物にすぎない」と言っていましたが、DNAの謎を研究している当人たちが、感情(嫌悪とか恋愛とか)や欲(他人より秀でたいとか先んじたいとか)のような「自分を守り、他より優位に立ちたいといった"遺伝子”の働き」に操作されているようにも見え、ちょっと皮肉にも感じました。