作: アルベール・カミュ
翻訳: 岩切正一郎
演出: 稲葉賀恵
出演: 原田美枝子、小島聖、水橋研二、深谷美歩、小林勝也
観劇日: 2018年10月13日(土) 13:00
上演時間: 1時間55分(休憩なし)
劇場: 新国立劇場 小劇場
チケット代: A席 5,900円(D3列) [パンフレット代:800円]
【感想】
事前勉強をあまりせずに臨みました。
そのせいか、どう捉えたらいいのか、ちょっと悩んでしまいました(笑)。
素直に、ある家族の物語?
それとも、何かを象徴していて、大きなメッセージが隠されている?
少なくとも、単なるサスペンスでないことは確か……。
田舎の小さな宿を営む母(原田美枝子さん)と娘・マルタ(小島聖さん)。
彼女たちは、宿泊客を殺して金品を奪い、その金で、いつの日か、この陰鬱な場所を出ていきたいと夢見ていました。
そこへ20年前に家を出て行った息子・ジャン(水橋研二さん)が帰ってきます。
しかし、息子だと気づいてもらえず、また自ら息子だと名乗りたくない(向こうから気づいて欲しい)ジャンは、彼女たちによって……。
ストーリーは非常にシンプルで分かりやすいものの、交わされる会話に含み?があるため、そこらへんを読み取ろうとすると、なかなか厄介です(笑)。
でも、母親(原田美枝子さん)の疲れと後悔が入り混じった感じ、娘(小島聖さん)の少し狂気じみたエネルギッシュな感じが、うまく対立し、観ていて惹きつけられました。
終演後、未消化の部分を何とか理解しようと、作品や作者について、ネットで調べたりしたんですが、その中で、アルベール・カミュについて書かれたWikipediaに「彼は一貫してキリスト教や左翼革命思想のような上位審級を拒否し、超越的価値に依存することなく、人間の地平にとどまって生の意味を探しもとめた。彼は「父」としての「神」も、その代理人としての「歴史」も拒否した。」という記述があるのを見つけました。
ラストシーン、それまで一度も口を開かなかった使用人(小林勝也さん)が、救いを求めるジャンの恋人(深谷美歩さん)に対して放った一言の意図が、これで分かりました。