クランク・イン!

作・演出: 岩松了
出演: 眞島秀和、吉高由里子、伊勢志摩、富山えり子、石橋穂乃香、秋山菜津子
観劇日: 2022年10月12日(水) 13:00
上演時間: 2時間5分(休憩なし)
劇場: 本多劇場
チケット代: 8,000円(A列:最前列) [パンフレット代:1,000円]


【感想】

運良く最前列をゲット!
でも、前日に吉高由里子さんがこんなツイートを。
気をつけなくては 汗。

一年前に新人女優の堀美晴が謎の死を遂げたため、暗礁に乗り上げていた映画。
その撮影が再開されるということで、女優たちは、監督(眞島秀和さん)の別荘近くに設けられた撮影現場に集められています。
しかし、いざリハーサルをしようとしても、脚本で揉めたりして、なかなか始められません。
そんな中、まだ配役も決まっていないジュン(吉高由里子さん)が現れ、主演女優の羽田ゆずる(秋山菜津子さん)に近づきます。
次第に堀美晴の死の真相をめぐって……。

ミステリーなのかと思いきや、岩松了さんに限って、そんな単純なストーリーであるはずもなく。
堀美晴の事件(事故?)も一つの要素として、監督や女優たちの心情とか思惑とかを描いた内容になっています。

岩松ワールドなので、例によって、話の筋はわかるものの、交わされる会話が掴みきれなかったりする部分も。
特に、登場人物の記憶が時おり曖昧になったりして、しかもそれに対して嘘を付いたりするものだから、話が微妙にズレたり、何が真実なのか分からなくなったりするのは、どういうことなんだろうと所々で引っかかってしまいました。
まあ、それが岩松ワールドなんでしょうが 笑。

描かれているのは、所謂、バックステージ的なものですが、我の強い主演女優とか女癖の悪い監督とか、昭和の頃にイメージしてた芸能界って感じです。

我の強い主演女優に、その貫禄が十分な秋山菜津子さん
一方で、自分の時代は過ぎたんじゃないかと気づき始めている焦りや苛立ち、悲哀なんかも観て取れました。

綺麗な女優には手が早い監督に、眞島秀和さん
優しいイケおじからクズや強面まで演じられる演技力は流石ですね。
この舞台でも、話が進むにつれ「えっこの女優とも」ってくらい女性関係が顕になっきて、最初に抱いていた"映画に情熱をかける監督"像がまやかしに思えてきます。

謎めいた女優・ジュン役には吉高由里子さん
舞台は3作目(スジナシを入れたら4作目)とのことですが、もっと出てるのかと思ってました。
過去作はどれも拝見していて、そしてどれも印象に残ってます。
正直、滑舌なんかは怪しい部分もありますが、不思議な存在感がありますよね。
バラエティなんかじゃ、"天然"っぽく扱われることが多いみたいですが、この舞台の役柄も少しそんな雰囲気もあって。
終盤は、かなりミステリアスになっていきますが、それでもカーテンコールでは、ひとり嬉しそうにニコニコして、そのお人柄が垣間見えた気がしました。

舞台セットは、上下二段になっていて、そこに女優たちの控室が配置されています。
最前列からだと、上段のセットが見切れてしまう部分もありましたが、私は全然眠くなりませんでした 笑。
でも、後列のおばさまは途中から寝てらしたみたいで。
開演前はお友達と元気にお喋りしてたのに……そんな方ほど、客席が暗くなると、途端に船を漕ぐ人が多いのは、どういうわけでしょうか。