Don't freak out (ナイロン100℃ 48th SESSION) Don't freak out (ナイロン100℃ 48th SESSION)

作・演出: ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演: 松永玲子、村岡希美、みのすけ、安澤千草、新谷真弓、廣川三憲、藤田秀世、吉増裕士、小園茉奈、大石将弘、松本まりか、尾上寛之、岩谷健司、入江雅人
観劇日: 2023年3月14日(火) 14:00
上演時間: 2時間20分(休憩なし)
劇場: ザ・スズナリ
チケット代: 7,600円(G列) [パンフレット代:1,800円]


【感想】

閉所恐怖症の"気"がある私は、スズナリが苦手です。
前列との間隔も狭く、一度座ったら簡単には出られないと思うと、余計に息苦しさを感じてしまいます。
しかも、今回は中通路もなくて、あの狭い空間にビッシリと人が。
しかもしかも、2時間20分休憩なし。
コロナ禍でなくても、できれば遠慮したいところですが、ケラさんの作品とあっては、やはり行かざるを得ないかと。

時代は昭和初期頃?
あるお屋敷の女中部屋が舞台です。
長年、その家に仕えている姉妹のくも(村岡希美さん)とあめ(松永玲子さん)。
部屋には井戸のようなものがあり、そこには家主だった天房征太郎(みのすけさん)が幽閉されていて……。

「Don't freak out」って「びっくりしないで、落ち着いて」という意味だとか。
「freak out」には「(薬による)異常な精神状態」という意味もあるみたいなので、だから「正気に戻って」みたいなニュアンスもあるのかも。

このタイトルが示すように、登場人物全員が"狂人"になっていくという陰惨な話。
征太郎(みのすけさん)は、この家の長男で、精神病院の院長だったのに、何がきっかけかはわかりませんが(私が見落としただけかも)、地下牢のようなところに幽閉される身となっています。
そして、弟の茂次郎(岩谷健司さん)が、征太郎の妻・雅代(安澤千草さん)と結婚するなど、狭い人間関係の中で繰り広げられる愛憎は、かなり気持ち悪い。
昭和初期?という時代もあってか、何となく雰囲気的には、横溝正史の映画を彷彿とさせる感じです。

何か一本縦軸となるようなストーリーがあるわけでもなく、一応、あめとくもの二人を中心としながらも、このお屋敷に関連する人々の群像劇を、不気味なエピソードで繋いでいくといった展開で進んでいきます。
突然、お屋敷の庭に浮浪者か精神異常者かのような男が入ってきたり、征太郎と雅代の娘が、生まれて間もないのに茂次郎の指を噛みちぎろうとしたり、大奥様(吉増裕士さん)が、茂次郎と雅代の息子・清(新谷真弓さん)を折檻したり……。
でも私には、この中で一番まともに見えた松永玲子さん、村岡希美さんのお二人が、最後に高笑いをするところが一番ゾッとしました。

何箇所か笑いどころはありましたが、それでもケラさんの作品にしては少なめだったかな。
いい意味で、2回は観たくないお話でした。

とても苦手なスズナリでしたが、この舞台を観るには最適な劇場かも
それにしても、あの椅子に2時間20分座りっぱなしは、お尻と腰にきました。