舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド

原案・構成・演出・振付: シディ・ラルビ・シェルカウイ
舞台版構成台本: ノゾエ征爾
上演脚本: 渡部亮平
出演: 窪田正孝、石橋静河、板垣瑞生、永田崇人、坂ノ上茜、村田寛奈、宮下今日子、田中哲司
ダンサー: 大植真太郎、大宮大奨、渋谷亘宏、AYUMI、森井淳、笹本龍史、渡邉尚、高澤礁太、権田菜々子
歌唱: 山脇千栄
観劇日: 2023年5月10日(水) 13:00
上演時間: 第1部(1時間25分) / 休憩(20分) / 第2部(50分)
劇場: THEATER MILANO-Za
チケット代: S席 13,000円(C列) [パンフレット代:2,000円]


【感想】

「THEATER MILANO-Za」のこけら落とし公演、窪田正孝さん主演、エヴァンゲリオン、ときたら、さぞやチケット入手は難しいかと思いましたが、あっさりとゲット。しかもまだ空いてるみたいですね。
舞台ファンとエヴァファンって、あまり重ならないのかな。
私は、TVシリーズを放送当時に友人からビデオで借りて(まだDVDですらない頃)観ました。
今までのヒーローものにはないウジウジした感じや、"使徒"という訳のわからない敵に驚いて、もういい歳になってましたが、一気見したのを覚えています。
でも、映画版は一切観てないんですよね(特に理由はないですが)。
この公演も、単に2.5次元的な舞台ならやめようと思いましたが、演出が『プルートゥ』のシディ・ラルビ・シェルカウイさんなので面白くなるんじゃないかと。
それに「THEATER MILANO-Za」も来てみたかったので。

14年前、ある集落に隕石が落下。
そこから謎の敵「使徒」が現れるようになります。
使徒に対抗するため設立された特務機関「MENSCH(メンシュ)」は、エヴァンゲリオンを開発し、そのパイロットとして少年・少女を選抜しますが……。

「NERV(ネルフ)」じゃなくて「MENSCH(メンシュ)」かぁ。
登場人物の名前も違いますし、一応、オリジナルの物語ではありますが、TVシリーズと映画版のエピソードからいくつかピックアップして構成したような感じです。
叶サネユキ(田中哲司さん)は、碇ゲンドウ。
その息子のパイロット・トウマ(永田崇人さん)は、碇シンジ。
ヒナタ(坂ノ上茜さん)は、わかりやすく「あんた馬鹿ぁ」という台詞も言ってましたが、惣流・アスカ・ラングレー。
って具合に対比できます。

でも、エヴァを知らない人たちは、そもそもエヴァって何?とか理解できたのかな?
"使徒"の正体は、最終的には分かりやすく説明されてましたが、エヴァをガンダムのようなロボットと思ってる人もたくさんいるんじゃないかな?
なんて余計な心配も 笑。

舞台は八百屋舞台と呼ぶには急勾配過ぎる程の角度。20度くらいはあったんじゃないでしょうか。
戦闘シーンでは、パイロットである板垣瑞生さん、永田崇人さん、坂ノ上茜さん、村田寛奈さんらが、そこからワイヤーを使ってフライングします。
客席まではみ出して飛んでくるので、なかなかの迫力!
キャストの皆さん、身体能力が高くないと務まらないですね。
窪田正孝さんも、最後にフライングしますが、体型が他の方とは明らかに違って。
肩幅は広く、ウエストは細く、まるでエヴァンゲリオンそのままみたいで 笑。

また、シェルカウイさん演出なので、ダンサーさんたちが印象的なダンスでシーンとシーンを繋いでくれます。
観どころの半分以上は、このパフォーマンスと言ってもいいくらい。
役者さんたちも、その中に入ることがありますが、ちょっとレベルが違うというか。
森山未來さんクラスでないと太刀打ちできない感じがします。

物語的には、「大人たちは、世の中の問題を子供を使って解決しようとしている」とか「自然が元に戻ろうとしているだけで、人類を攻撃しているわけではない」とか、比較的分かりやすいメッセージだったかな。

全体的にエヴァを知らない人でも楽しめる内容だったと思いますが、ひとつだけ欲を言えば、やはり戦闘シーン。
キャストのフライングは良かったですが、エヴァや使徒をパペットでというのは……正直、チープ感が否めないというか。
『プルートゥ』みたいにヒーローが等身大であれば、役者自身が動けばいいですが、エヴァは巨大ですからねぇ。
安易に映像に逃げなかったのは良かったですが、スピード感というか、躍動感というか、ダイナミックさは無かったと言わざるを得ません。
しかも、エヴァの登場シーンでは、それなりの大きさのパペットだったのに、戦闘が白熱してくると、人間より小さなパペットに切り替えてしまうのはどうかと。
おそらく戦いの主軸をパイロットにしたかったからなんでしょうけど。

とは言え、単なる2.5次元を超えた試みであったことは称賛したいですね。
そういう意味で「ビヨンド」でもあったのかな。


※ こけら落とし公演だからでしょうか、入り口でオリジナルのペットボトルホルダーに入ったお茶のプレゼントがありました。エヴァカラーを基調にした6色から1人1本選ぶことができ、私はアスカの赤にしました。