作・演出: 三浦大輔
音楽: 銀杏BOYZ
出演: 髙木雄也、呉城久美(奥貫薫)、萩原みのり、米村亮太朗、中山求一郎、村田秀亮、日高ボブ美
観劇日: 2022年3月15日(火) 12:00
上演時間: 第1部(1時間35分)/休憩(20分)/第2部(1時間15分)
劇場: 新国立劇場 中劇場
チケット代: 10,800円(14列) [パンフレット代:2,000円]
【感想】
2年前、コロナで中止になった舞台(初演は2010年)が、いよいよ再開です。
今回は、残念ながら奥貫薫さんが陽性になってしまいましたが……。
フリーターの裕一(髙木雄也さん)は、OLの里美(萩原みのりさん)と同棲中。
バイトを無断欠勤し、母親から電話がかかってくるも、仮病を使ってその場をやり過ごすという怠惰な生活をしています。
そんな中、マッチングアプリで知り合った主婦・智子(呉城久美さん)と浮気を繰り返すようになりますが……。
ジャニーズの方が主演ということで、会場の9割以上は女性客。
予想はしていましたが、かなり圧倒されてしまいました。
それにしても、ジャニーズの方が三浦大輔さんの舞台に出演するのって、なかなかにリスキーというか、チャレンジングですよね。
だいたい濃厚な濡場があるし、主人公はクズかダメ人間かだし。
今回の主人公・裕一は、クズというよりはダメ人間の方。
喋り方、歩き方からしても、無気力感満載です。
ここらへん、髙木雄也さんがジャニーズのキラキラ感を見事に消して演じてましたね。
ポスターやチラシではスタイリッシュな感じでしたが、舞台では、前髪も目が隠れるくらいに垂れ下がっていたので、猫背と相まって、より暗さや卑屈さが際立って見えました。
ただ、無気力な性格に比べて、下半身の方はかなりバイタリティに溢れていて……このアンバランスさに若干の違和感を感じることもありました(これはキャラ設定の問題だと思うんですが)。
アンバランスと言えば、無断欠勤したバイト先にも電話できないくらい、嫌なことから逃げてばかりなのに、智子の旦那(村田秀亮さん)に呼び出されたらきちんと会いに行くし、智子が妊娠したと分かった時も「責任を取る」みたいなことを言うし、ちょっとは骨のあるとこも見せるじゃんとも思ったんですが。
いやでもコレって、とりあえず目の前のことをやり過ごすための究極の「逃げ」なのかもしれないですね。
さて、相手役の呉城久美さんですが、これがもうホントに良かったですね。
なんと言うか、まさに地味な主婦って感じなんですが、妙な色気があって。
舞台上では42歳ってなってましたが、実年齢は35歳くらいなので、まあ若く見えるのは当然なんですが。
奥貫薫さんの代役とのことですが、見事にハマってましたねぇ。
逆に奥貫さんだとどうなるのかも観てみたくなりました。
旦那との微妙な関係性も、少ない情報量から十分に想像できましたが、旦那役の村田秀亮さんもいい味出してましたね。
智子のお茶碗を洗ってあげたり、旅行を計画したり、とても優しそうな反面、智子が観ている好きなお笑い番組を「くだらない」と言って勝手に変えたりして(智子がお笑い好きとは知らず)。
智子も旦那に対して、いつも敬語でよそよそしく接していて、決して仲が悪いわけではないけど、分かり合ってないというのが如実に伝わってきました。
二幕では、タイトルにある「裏切り」が明らかになってきます。
それとともに、それまで裕一や智子の無気力で卑屈な姿にイラつきを感じていたのが、だんだん微笑ましくも思えてきたりして……。
それは、要領の良さとかマトモさより、不器用でも自分に正直(単に意志が弱いだけ?)な二人に、ほんのちょっとだけ共感してしまったからかもしれません。