やっぱし舞台が好き!

芝居、ミュージカル、バレエ、ダンス、クラシック、コンサートなどの舞台観賞が大好きです。 観劇の個人的な感想をつらつらと書いてます。 たまに、ちょっとした体験談や気になったことも・・・。

仲村トオル

【観劇】広島ジャンゴ2022

広島ジャンゴ2022

作・演出: 蓬莱竜太
出演: 天海祐希、鈴木亮平、仲村トオル、野村周平、中村ゆり、藤井隆、芋生悠、宮下今日子、池津祥子、北香那、土居志央梨、辰巳智秋、本折最強さとし、江原パジャマ、川面千晶、エリザベス・マリー、小野寺ずる、筑波竜一、木山廉彬、林大貴
ミュージシャン: 熊谷太輔(Dr)、河村博司(Gt)
観劇日: 2022年4月19日(火) 18:30
上演時間: 第1部(1時間10分) / 休憩(20分) / 第2部(1時間20分)
劇場: シアターコクーン
チケット代: S席 11,000円(H列) [パンフレット代:2,000円]


【感想】

最近、思わぬところで話題になってる蓬莱竜太さん(笑)。
私は、蓬莱さんの描く日常の現代劇が好きなんですが、『渦が森団地の〜』とか『首切り王子と〜』といったちょっと毛色の変わったのも、これはこれで好きです。
今回はチラシにも「異色のニュー・ウエスタン活劇?!」とあったので、コメディなのかと思いきや、ロビーにはこんな注意事項があって……。
注意事項

ストーリーや設定は全然違いますが、『渦が森団地の〜』(これにも鈴木亮平さんが出てましたね)と非常に良く似たテイストを感じました。

舞台は現代の広島にある牡蠣工場。
引っ越して日が浅いパートタイマーの山本(天海祐希さん)は、何か過去を背負っているようで、皆の輪に溶け込めずにいます。
ワンマンな工場長(仲村トオルさん)のご機嫌とりのために行う休日の懇親会にも参加できないと言い、調整役の木村(鈴木亮平さん)は困り果てていますが、ある日、木村が目を覚ますと、そこは西部の町「ヒロシマ」になっており……。

冒頭に牡蠣工場のシーンがありますが、その後はずっと西部劇調で、鈴木亮平さんが何故か馬(しかも喋れる)になってたりして、「なんじゃこりゃ?」な世界。
最初は鈴木亮平さん同様、戸惑ってしまいますが、だんだんその状況を受け入れてしまいます(笑)。

扱っている題材は、素直に観るとブラック企業とかDVとか同調圧力とかなんですが、今の世界情勢を思うと、町の支配者(仲村トオルさん)の独裁的な姿にプーチンを重ねてしまうところもあります(何処かへ侵攻するってことはないですが)。
途中、町の人々が反旗を翻した時に、仲村トオルさんが演説(反論)するんですが、その内容に少なからず頷ける部分もあって、そう思ってしまうところに、また怖さを感じたりもしました。

タイトルの「ジャンゴ」とは、西部劇中の天海さんの名前で、ガンマンの出立ちはまさに眼福
最後の立ち回りもカッコ良くて!
ただ、現実世界も西部劇中も影を背負っているので、『女王の教室』くらい笑顔を見せません(カーテンコールでは満面の笑みを見せてくれましたが)。

その分、馬になった鈴木亮平さんが、場を和ませてくれます。
ハンドカラオケでラップを披露してくれたり(ちょっと何言ってるかわからないところもあったものの)、狂言回し的な役も担ったりと忙しいです。
でも、木村(鈴木亮平さん)にも悲しい過去があって……そのシーンの土居志央梨さんの演技が身につまされました

西部劇中では、”悪は滅びる”的な結末を迎えますが、現実に戻った世界ではそんなにうまくいかず。
結局、何も変わらないのかもしれませんが、それでも清々しさが残るエンディングでした。


※ 先日、WOWOWオンデマンドでライブ配信やってたんですが、初見は生で観たくて我慢しました。我慢してよかった。

【オンデマンド配信】砂の女 (ケムリ研究所 no.2)

砂の女

原作: 安部公房
上演台本・演出: ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演: 緒川たまき、仲村トオル、オクイシュージ、武谷公雄、古増裕士、廣川三憲
音楽・演奏: 上野洋子
チケット代: 3,500円(e+オンデマンド配信)


【感想】

これ、チケットは取ってたんですが、ちょうどその頃、東京ではコロナの新規感染者が4000人を超える日が続いていて、行くのを自粛したんですよね。
でも、やはりどうしても観たくて、オンデマンド配信のチケットを買ってしまいました。

休暇を利用して、砂地に生息する新種の虫(ハンミョウ)を探しに、砂丘の村にやって来た男(仲村トオルさん)。
そこは家々も砂の底に建っており、縄梯子を使わないと降りられないようなところ。
一晩、村の女(緒川たまきさん)の家に泊めてもらった男でしたが、翌朝起きてみると、縄梯子は外されており……。

観る前に原作(小説)も読んでたんですが、結構、原作に忠実でしたね。
原作では、口の中にも砂が入ってくる表現がとてもリアルで、読んでるだけで不快感に苛まれましたが、舞台の方は、さすがにそこまでの描写はなかったですね(配信だから分からなかっただけかも)。
でも、渇きや閉塞感なんかは、しっかり伝わってきて、私は画面を観ながら何度もお茶を飲んでしまいました。

先日、観劇した『友達』もそうでしたが、こういう不条理劇は、寓話的要素を見出したくなります
少しの配給のために、単調で辛い"砂かき"という作業を強いられる……でもこれって、低賃金で非効率な労働をさせられる今の会社と相通ずるものがあります。
最初は抵抗しても、そのうち、諦めとともに受け入れるようになり、いつしか、その中で少しの楽しみまで見つけ始めるところは、哀れでもありますが、同時にどんな環境にも順応してしまえる逞しさも感じます。
男と女の生活を穴の上から見下ろす村人は、虫かごに入れたつがいの虫を観察するようでもあり、昆虫採集をしに来た男が、逆に採集されてしまったようにも見えます。

それにしても、緒川たまきさんが妖艶でとてもいいんですよね。
男を取って食ってやろうという肉食的な色気ではなくて、弱い毒で徐々に神経を麻痺させていく感じが、怖くもあり美しくもありました。

男の方は、原作では身長158cmと小柄な設定なんですが、それを仲村トオルさん(劇中ではちゃんと180cm以上にしてましたね)が演じると、ちょっとまた違った印象になります。
でも、精悍な男が翻弄される方が、ギャップがあって面白い。

ほとんどが穴の底での話なので、舞台セットは地味だし、ずっと変わり映えしないし(プロジェクションマッピングなどで工夫していましたが)、そういう意味では、テンポが悪いかなと思ったところもありましたが、それは配信だったからかもしれません。
やはり舞台は生ですね。

今度は『箱男』なんか観てみたいな。

【ライブ配信:WOWOWメンバーズオンデマンド】ベイジルタウンの女神 (ケムリ研究室 no.1)

ベイジルタウンの女神

作・演出: ケラリーノ・サンドロヴィッチ
振付: 小野寺修二
出演: 緒川たまき、仲村トオル、水野美紀、山内圭哉、吉岡里帆、松下洸平、高田聖子、犬山イヌコ、温水洋一、望月綾乃、大場みなみ、斉藤悠、渡邊絵理、荒悠平、高橋美帆、尾方宣久、菅原永二、植本純米
観劇日: 2020年9月22日(火) 18:00
上演時間: 第1部(1時間45分) / 休憩(15分) / 第2部(1時間30分)
劇場: 世田谷パブリックシアター
チケット代: 0円(WOWOWメンバーズオンデマンドによるライブ配信)


【感想】

この舞台、観に行きたかったんですが、諸々の事情で日程が合わず諦めていたところに、「WOWOWメンバーズオンデマンド」でライブ配信すると聞いて……。
WOWOWには、ずっと前から加入してたんですが、メンバーズオンデマンドまでは手を出してませんでした(どうもパソコンやタブレットで観るのが苦手で)。
でも、これが観られるなら話は別。
早速登録をして(WOWOWに入っているので利用は無料)、この日を待ちました。

いやぁ良かった、面白かった!
でも、やっぱし生で観たいと思ってしまいました。

大会社の社長・マーガレット(緒川たまきさん)は、フィアンセのハットン(山内圭哉さん)のために、ベイジルタウンと呼ばれるスラム街の再開発を計画しています。
すでに第8地区と第9地区を手に入れていたマーガレットは、第7地区を所有しているライバル社の社長・タチアナ(高田聖子さん)のもとへ売買交渉にやってきます。
タチアナは小さい頃、マーガレットの家に小間使いとして雇われていましたが、マーガレットが自分のことを忘れていると知ると、「マーガレットが無一文で1ヶ月間ベイジルタウンで生活できたら、第7地区を譲渡する」と提示してきます。
そうして世間知らずのマーガレットが、身分を隠し、ベイジルタウンで生活を始めますが……。

金持が貧しい人たちの中に紛れ、ドタバタがあったり、友情が芽生えたりといった話は、まあよくあると言えばよくある物語ですが、ケラさんの手にかかると、極上の"おとぎ話"に!
テンポも良くって、配信が苦手な私でも、あっという間の三時間半でした。

やっぱ緒川たまきさんが良いですよね
あの独特の"天然"っぷり。
特徴的な声から発せられる悪気のない毒。
めちゃくちゃ可愛らしくて、めちゃくちゃ笑えます。
登場人物のほとんどが"天然"なんですが、その中でも群を抜いてチャーミングです。
タチアナ(高田聖子さん)との友情が復活するシーンでは、ホロッともさせられました。

スラム街の住人たち(仲村トオルさん、水野美紀さん、松下洸平さん、犬山イヌコさん、温水洋一さんなど)も、みんな個性的で、それぞれに物語があって、奥行きを感じます。

観終わったあとに、深く考えさせるようなメッセージ性の強い舞台もいいですが、コロナ禍の中で鬱々としている今は、こういうエンターテイメント性の高いお芝居は本当に気持ちを和らげてくれました。

今回、配信で観劇しましたが、配信もそんなに悪くないかもと思い始めています。
でも、先日の『スジナシ(ゲスト:鈴木保奈美さん)』の配信もそうでしたが、生配信で、しかもあとでアーカイブ配信しないというのが、「その時、その場にいないと観られない」という劇場で観る時と近い緊張感があったからなのかもしれません。
それに、無料で観られた(WOWOWの月料金は払ってますが)ということも大きいかも。


9月24日(木)18:30から『ゲルニカ』もライブ配信するみたいなので、観てみようかな。

【観劇】終わりのない

終わりのない

終わりのない

原典: ホメロス『オデュッセイア』
監修: 野村萬斎
脚本・演出: 前川知大
出演: 山田裕貴、仲村トオル、村岡希美、奈緒、安井順平、浜田信也、大窪人衛、清水葉月、盛隆二、森下創
観劇日: 2019年10月29日(火) 19:00 ※初日
上演時間: 2時間(休憩なし)
劇場: 世田谷パブリックシアター
チケット代: S席 7,500円(2階B列) [パンフレット代:1,300円]


【感想】

古代ギリシアの叙事詩『オデュッセイア』をヒントに作られたとのこと。
事前に勉強しとかないと難しいかなと思いましたが、それは杞憂に終わりました。

主人公・悠理(山田裕貴さん)は、9才の時、溺れて死にそうになった経験があります。
ある日(2020年8月21日)、両親(仲村トオルさん、村岡希美さん)と幼馴染(大窪人衛さん、清水葉月さん)と一緒にキャンプにやってきますが、そこで再び溺れた悠理が目を覚ましたのは……。

円形の八百屋舞台というシンプルなセットで展開する時空を超えた物語です。
パラレルワールドとかタイムリープとか惑星移住とかクローンとか、まあよくあるっちゃあよくある題材ですが、それが一人の青年の人生にリンクし、融合していく辺りは、さすがに前川知大さんだと感じ入りました。
途中、村岡希美さんが説明してくれる「量子論」も面白く、ストーリーに説得性を持たせてくれてます。

山田裕貴さんが、自身に起きたことに戸惑いを感じながらも、最後は力強く立ち直っていく(立ち向かっていく)様を好演。
また、仲村トオルさんと村岡希美さんの、ちょっとトボけたやり取りが、ちょうどいい緩和剤になって、場を和ませてくれました。

そのおかげか、「人類を救えるのは人類だけ」「自分を変えられるのは自分だけ」みたいなベタなメッセージも、素直に受け取ることができました。

【観劇】プレイヤー

プレイヤー

作: 前川知大
演出: 長塚圭史
出演: 藤原竜也、仲村トオル、シルビア・グラブ、峯村リエ、高橋努、安井順平、村川絵梨、長井短、大鶴佐助、本折最強さとし、櫻井章喜、木場勝己、真飛聖
観劇日: 2017年8月4日(金) 19:00 ※初日
上演時間: 第1部(1時間5分) / 休憩(15分) / 第2部(1時間30分)
劇場: シアターコクーン
チケット代: S席 10,500円(XC列:最前列) [パンフレット代:1,500円]


【感想 (あくまでも個人的なものです)】

ある地方の劇場(稽古場)が舞台です。
死者が生きた人間の口を借りて話す『プレイヤー』という芝居のリハーサルをしています。
つまり、『プレイヤー』という劇中劇です。

「プレイヤー」とは、死者の記憶や魂を「再生する人」のことですが、劇中劇の『プレイヤー』という芝居が、亡くなった脚本家の未完成作品という設定のため、その脚本家の言葉を「役者(プレイヤー)」が「再生(プレイ)」しているということにもかけています。

ちょっとややこしそうですが、ほとんど劇中劇のリハーサルシーンで、時々、演出や休憩のためにカットが入ります。
その時、劇中劇の登場人物の心情や背景をディスカッションしたりするので、観ているこちらも理解しやすいです。

でも、後半、アドリブで(劇中劇の中の設定で)芝居を続けたり、制作や演出家(真飛聖さん)が演技に加わってきたり、何だか現実と芝居の境が曖昧になってきます。

上演時間は、休憩15分入れて2時間50分。
勝手に、休憩なしで2時間くらいと予想していたので、思いのほか長かったです。

でも、本当のリハーサル風景を見ている感じもあり(ラッキーなことに最前列でしたし)、それだけでも飽きませんでした。
演出が長塚圭史さんですし、もしかして難しいかなと心配していましたが、そんなこともありませんでした。

死者の言葉を話すという瞑想サークルを、環境保護団体の代表(仲村トオルさん)が主催しているという設定も、何となくリアリティがありますし、だんだんと狂気を孕んでくる藤原竜也さんや高橋努さん、村川絵梨さんらの姿が、とても怖ろしく感じました。

いわゆるオカルト的な恐さというより、人が集団で洗脳されていく恐怖でした。



※昨年から、私の観劇記録は「レビューぴあ」にも投稿しています。よければ、合わせてご覧ください。
https://r.pia.jp/review/pia/list/reviewr/20832/insert_date/1

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