やっぱし舞台が好き!

芝居、ミュージカル、バレエ、ダンス、クラシック、コンサートなどの舞台観賞が大好きです。 観劇の個人的な感想をつらつらと書いてます。 たまに、ちょっとした体験談や気になったことも・・・。

津村知与支

【観劇】だからビリーは東京で

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だからビリーは東京で
だからビリーは東京で

作・演出: 蓬莱竜太
出演: 名村辰、生越千晴、津村知与支、古山憲太郎、伊東沙保、成田亜佑美、西條義将
観劇日: 2022年1月13日(木) 14:00
上演時間: 1時間45分(休憩なし)
劇場: 東京芸術劇場 シアターイースト
チケット代: 3,000円(自由席) [パンフレットなし(無料リーフレット配布)]


【感想】

一言。良かった!
蓬莱竜太さんの舞台はやっぱし好きだなあ!
重すぎず、軽すぎず、ただ日常を描いているだけなんだけれど、最後はジーンときます。

数ヶ月前に観た『ビリーエリオット』に感動し、役者になることを決意した凛太朗(名村辰さん)が、ある小劇団のオーディションを受けるところから始まります。
その劇団の舞台はとても難解で、観客もいつ終わったのか分からなくて拍手できないほど。
無事に入団を許された凛太朗は(なんせ応募者が一人しかいなかった)、公演に向けて難解な芝居の稽古に励んでいましたが、世の中はコロナ禍になり……。

これ、架空の劇団が舞台ですが、今まさに全国で起きていることですよね。
部活に入ったばかりの学生、会社に入ったばかりの社会人……新しく何かを始めた人だけじゃなく、ずっと続けてきた人にとっても、突然、どうしようもないものに邪魔されるという不条理。
その真っ只中にいる今だからこそ、本当に身に染みます
これ、コロナが収束した後に観たら、また違うんだろうなあ。

各劇団員が抱える悩み(家族、友人、恋人など)も差し込みつつ、劇団あるあるなどのネタに笑いながらも、最後は泣けてきます。
「明るく頑張っていこう」と無理矢理励まされているわけでもなく、かと言って「大丈夫」と安易に慰められているわけでもない。
あがいてもどうにもならない歯痒さ、悔しさ……でも決して諦める必要はない、「まだ途中なんだから」……そんな押し付けがましくない優しさが胸に響きました。
最後に、もう一度タイトルの意味を噛み締めさせるとこなんかも憎いですね。

それにしても、モダンスイマーズの公演って、安すぎないですか?
これで3000円って。ちょっと心配になるくらい。
平日はまだ空きがあるそうで。
お勧めしたくなるくらい、本当に上質の舞台でした。


※ この日は終演後にアフタートークも。
登壇者は、モダンスイマーズメンバーの5人。蓬莱竜太さん、古山憲太郎さん、生越千晴さん、津村知与支さん、西條義将さん。
また、初日からこの日までに観劇した人には、戯曲のプレゼント(ダウンロード)も。
ありがとうございます。

【観劇】ぽに

ぽに

作・演出: 加藤拓也
出演: 松本穂香、藤原季節、平原テツ、津村知与支、豊田エリー、金子岳憲、秋元龍太朗、安川まり
観劇日: 2021年10月31日(日) 14:00
上演時間: 2時間(休憩なし)
劇場: KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
チケット代: 4,500円[前半割引](A7列) [パンフレットなし]


【感想】

松本穂香さんのことは、テレビでよく拝見してましたが、普通に「いい女優さんだな」くらいにしか思っていませんでした。
なので、ドラマや映画なんかも、彼女目当てに観ようと思ったことはなかったんですが、ある日、WOWOWで放送された『いきなり本読み』(岩井秀人さん主催。俳優さんたちに、その場で初見の台本を渡し、いきなり本読みをしてもらうという企画)に出演されているのを観てビックリ!
めちゃくちゃ上手い!
瞬時に役を掴む反射神経や感情表現の豊かさ、的確さ、対応力に衝撃を受けました。
で、彼女目当てに、この舞台を観にきたわけです。

円佳(松本穂香さん)は、シッターのバイトをしながら、何となく海外留学を夢見る女性。
好きな男性・誠也(藤原季節さん)と体の関係はあるものの、将来については煮え切らない状態が続いています。
ある日、バイト先の家で、大きな地震に遭遇しますが、面倒をみていた5歳の男の子・れん(平原テツさん)のワガママに付き合いきれなくなった円佳は、れんを置き去りにしてしまいます。
しかし、翌朝、彼はおじさんの姿(ぽに)になって訪ねてきて……。

加藤拓也さんの現実離れした設定は、これまでにもいくつか観てきましたが、今回はかなりシュールで……(^^;)。
ちなみに、「ぽに」のアクセントって、私は「(崖の上の)ぽにょ」と同じだと思っていたんですが、「おに(鬼)」の方でした(そう言えば、鬼ごっこから着想を得たという記事を思い出しました)。

あらすじも、事前にホームページなどで把握していたので、最初に平原テツさんが登場した時も「ああ今は子供ね」と認識することができましたが、この舞台のテーマが、「仕事とお金の責任の範囲」ということは、観劇後に知りました。
なるほど、責任を押し付けあって、押し付けられた方が「鬼(ぽに)」になるっていうことか、確かに鬼ごっこに似ていると理解はしたものの……ん?じゃあ「ぽに」になるのは円佳では?
いや、円佳がワガママを言うれんに「もう知らない」と責任を押し付けたかられんが「ぽに」になったの?
でも、それは押し付けたというより、自分の責任を放棄したと言った方が近いんじゃ?
しかも「ぽに」になったれんは、子供のれんとは別の存在みたいだし、お祓いをしてもらうのはれんじゃなくて円佳の方だし、だとしたられんが「ぽに」になるというよりは、円佳に「ぽに」が憑いたということ?
それに、お祓いすると、失明してしまうのは何故?
コンビニの店員も、以前、お祓いしてもらったということ?(その経験があるから、今は責任を持って店を守っているということ?)
うーん、いまいち「ぽに」のメカニズムが分かりません

舞台上の世界では、「ぽに」が一般的に認識されているらしく、「ぽに」となったれんが現れても驚かず、当たり前のように対応していくので、ちょっとついていけなかったというか(^^;)。
その「ぽに」が登場するのも、後半に入ってから。
それまでは、円佳を中心とした日常がダラダラと続きます(言い方は悪いですが、何の目標も持たずに生きている円佳の生活を表現しているのかと思いますが)。
そういう意味では、前半はかなりテンポが悪いという印象を受けました。

でも、そのダラダラとした場面が続いても観られちゃうのは、やはり松本穂香さんの上手さでしょうね。
本当に「円佳」という女性の内面まで分かるナチュラルな演技でした。
藤原季節さんのクズっぷりも良かったです(褒めてます)。
円佳に触れる時には、おもちゃの(ぬいぐるみのような)手を使うんですが、あれは彼女に対する精神的な距離を演出してたんでしょうね。

舞台セットは、デパートなんかにある子供の遊び場を模したもので、それを客席が四方から取り囲んでいます。
ぽに
「責任のなすりつけ合い」=「鬼ごっこ」=「子供の遊び」みたいな構図を表しているんでしょうか。
残念なのは、子供の遊び同様、話の方も、最後は散らかしっぱなしで終わったという感じが否めないこと。

でも、松本穂香さんが出演する舞台は、これからもチェックしていきたいと思えたのは収穫でした。


※ 緊急事態宣言が解かれてから約1ヶ月。
思えば、東京都以外での観劇(いや、東京から出ること自体)は、約1年8ヶ月ぶり。
前回、東京以外で観たのが、奇しくも「劇団た組」の『誰にも知られず死ぬ朝』(彩の国さいたま芸術劇場)でした。
KAATに来るのは、2019年12月の『常陸坊海尊』以来。
このまま収束していってほしい。

【観劇】FORTUNE(フォーチュン)

FORTUNE(フォーチュン)

FORTUNE(フォーチュン)

作: サイモン・スティーヴンス
翻訳: 広田敦郎
演出: ショーン・ホームズ
出演: 森田剛、吉岡里帆、田畑智子、鶴見辰吾、根岸季衣、市川しんぺー、平田敦子、津村知与支、菅原永二、内田亜希子、皆本麻帆、前原滉、斉藤直樹、岩崎MARK雄大、遠山悠介、渡邊絵理
観劇日: 2020年1月23日(木) 18:00
上演時間: 第1部(95分) / 休憩(20分) / 第2部(55分)
劇場: 東京芸術劇場 プレイハウス
チケット代: 10,500円(O列) [パンフレット代:2,000円]


【感想】

ジャニーズなのに、ちょっとアウトローで危うい感じが漂う森田剛さん
その魅力が存分に発揮された舞台でした。

映画監督として成功をおさめているフォーチュン(森田剛さん)は、幼い頃に父親が自殺したという過去を抱えています。
仕事で知り合ったプロデューサーのマギー(吉岡里帆さん)に好意を抱くようになりますが、彼女には夫がいて、幸せな生活を送っているとのこと。
マギーとの会話をきっかけに、ある日、ヘロインに手を出したフォーチュンは、悪魔のルーシー(田畑智子さん)に出会い、寿命と引き換えに「契約」を交わしますが……。

『ファウスト伝説』を現代のロンドンに置き換えた作品だそうです。

劇中には様々なメタファーが隠されているように感じます。
例えば、フォーチュンが大好きな(依存していると言っていいくらいの)ダイエットコーク。
「甘いものは欲しいけど太りたくない」っていう欲望の塊を象徴しているかのようです。

そして、悪魔。
現代の悪魔は、色々あるでしょうが、そのうちの一つは間違いなく"麻薬"でしょう。
ルーシーに会うために、ネットのサイトからコンタクトしたり……これって、まさに"クスリ"の売人と連絡するみたいです。
そう考えると、フォーチュンの体験したことは、"クスリ"による幻覚・妄想とも捉えることができます。
ある意味、悪魔より、こっちの方がよほど怖い気もします。

他にも、ルーシーという名前はルシファーにかけてると思えるし、フォーチュンという名前もなかなかに皮肉が効いてます。

ラストシーンの砂も、埋葬されるというメタファーなんだと勝手に解釈しました。

よく「人間の欲望には果てがない」と言いますが、それは"慣れ"や"依存性"があるからなんでしょう。
一方で、苦痛や孤独には、一向に慣れない。
終盤、フォーチュンが抱える孤独や苦悩を森田剛さんが好演していて、彼が本当に欲していたものが何なのか、とてもよく伝わってきました。

チラシには森田剛さんと吉岡里帆さんが使われていますが、劇中での存在感は、圧倒的に田畑智子さんが凄かった
まあ、悪魔というキャラなので、当然エキセントリックにならざるを得ないですが、何というか、悪魔?人間?とどちらともとれる匙加減が絶妙でした。

前半、ちょっと話の展開が遅いと感じる部分もありましたが(冒頭、いきなり鶴見慎吾さんがアウトレイジ的な感じで、ラップ調?の歌を歌い始めた時には、どんな展開になるの?と驚きもしましたが)、悪魔との契約を交わした後は、一気に目が離せなくなりました。

【観劇】ビューティフルワールド(モダンスイマーズ結成20周年記念公演)

ビューティフルワールド

ビューティフルワールド ビューティフルワールド

作・演出: 蓬莱竜太
出演: 津村知与支、小椋毅、生越千晴、古山憲太郎、西條義将、吉岡あきこ、成田亜佑美、菅原大吉
観劇日: 2019年6月13日(木) 19:00
上演時間: 第1部(1時間5分) / 休憩(10分) / 第2部(1時間)
劇場: 東京芸術劇場 シアターイースト
チケット代: 3,000円(D列) [パンフレットなし]


【感想】

テーマは「純愛」で、タイトルは『ビューティフルワールド』。
なんてベタなんだろうと思いましたが(笑)、やはり蓬莱竜太さん、ありふれたラブストーリーになるわけもなく……。

40を過ぎて引きこもっている夏彦(津村知与支さん)。
ある日、実家が火事になり、銚子にある親戚の家(カフェを経営)の離れへ引っ越すことになります。
そこで、夫(菅原大吉さん)や娘(生越千晴さん)から邪険に扱われている依子(吉岡あきこさん)に出会い……。

前半は、夏彦と依子の視点で物語が進みます。
虐げられた者同士が想いを寄せ合うまでは、二人の苦しい心情が描かれ、観ているこちらも胸が詰まる場面も。

でも、そのまま単純に話は運びません。
引きこもり、いじめ、モラハラ、不倫など、様々な要素が絡み合って、それまでの主従関係が逆転したり……
登場人物の誰かにどっぷりと共感することはできませんでしたが、逆に、誰にでも少しずつ共感できるところもあって、「ああ何かわかる」とか「そんな言い方しなくても」とか「そりゃそう思うわな」とか、時々、自分と照らし合わせて、いたたまれなくなることもありました。

菅原大吉さんのモラハラっぷりもかなりのものでしたが、吉岡あきこさんの本当に普通の主婦感が、とてもハマっていて、だからこそリアルに感情移入することができたと思います。

ただ、息苦しい場面だけではなく、かなり笑えるシーンも。
終盤、不器用な男・ケンさん(西條義将さん)の思わぬ本性に爆笑でした。

諸手をあげてハッピーエンドというわけではなかったですが(特に依子一家にとっては)、決して重くない終わり方で少し救われました。

※ 序盤に「エヴァンゲリオン」ネタがありましたが、知らない人には全くわからないかもしれません。
ちなみに「エーティーフィールド(ATフィールド)」というのは、いわゆる「バリア」みたいなもので、アニメでは「ATフィールド全開!」といった使われ方をします。

【観劇】画狂人 北斎

画狂人 北斎

演出・脚色:
 宮本亜門
脚本: 池谷雅夫
出演: 升毅、黒谷友香、玉城裕規、津村知与支、和田雅成、水谷あつし
観劇日: 2019年1月13日(日) 13:00
上演時間: 110分(休憩なし) ※上演予定時間は120分となっていましたが
劇場: 新国立劇場 小劇場
チケット代: S席 9,500円(D5列) [パンフレット代:2,500円]


【感想】

宮本亜門さん演出なので、もしかしたらミュージカルなのかなと思いましたが、ストプレでした。

2年ほど前(すみだ北斎美術館ができた頃)、北斎ブームがバッときて、最近は少し下火になってきましたが、いやいやまだまだ根強い人気のようです。

これまでも北斎(またはお栄)を題材にした舞台は何作か観ましたが、結構いろんなエピソードは紹介され尽くしたし、どのように見せていくのかなとワクワクしながら客席に入ると、講演会のようなステージセット(演台、スクリーン、助手席だけ)
いい意味で予想が外れ、期待値が上がります。

物語は、画家になれなかった北斎研究家・長谷川(津村知与支さん)と絵描きを諦めようとしている後輩・峰岸(和田雅成さん)の話と、北斎(升毅さん)・お栄(黒谷友香)の話が交互に描かれ、次第にオーバーラップしていきます。

ところどころ、本当に北斎の絵について解説しており、それがまた勉強にもなります。

北斎のような天才になれない長谷川や峰岸のような多くの人々。
その葛藤や挫折、でも絵を捨てきれないジレンマのようなものが、純粋に絵に向かっていく北斎の姿と対比され、心に迫ってくるものがありました。

升毅さんの北斎が、なかなかしっくりきていて、流石ベテランという味でした。
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