作: 北村想
演出: 寺十吾
出演: 井上芳雄、鈴木浩介、井上小百合、大谷亮介、瀧内公美、岩男海史
観劇日: 2022年3月23日(水) 14:00
上演時間: 1時間42分(休憩なし)
劇場: 世田谷パブリックシアター
チケット代: S席 10,000円(F列:最前列) [パンフレット代:800円]
【感想】
まずは、井上芳雄さんが無事に回復されてホッとしました。
物語の舞台は、現代の日本。
私立探偵・法水連太郎(井上芳雄さん)は、ある日「キキュウノイライアリ」というメモを残し、どこかへ出かけてしまいます。
メモを見つけた親友で医師の楯鉾寸心(鈴木浩介さん)は、あとを追いかけ、森の中で倒れている法水を発見して介抱しますが、目を覚ました彼は記憶を失っており……。
というあらすじなんですが、ここまでの話は、舞台上では演じられません。
冒頭、鈴木浩介さんがストーリーテラーとして登場し、観客へ語りかけた後、記憶を失った法水へ経緯を説明するといった体で話を聞かせます。
「キキュウノイライ」とは何か?誰が依頼したのか?
法水と楯鉾がシャーロックとワトスンばりに、この謎解きに挑んでいく様を軸に物語は進んでいきますが、本格ミステリーというわけではなくて、コメディ要素も随所に散りばめられていて。
主演が井上芳雄さんということで、記憶を無くしているにも関わらず、唐突に「もしかして、僕は歌が好きだったんじゃないか?」などと言って、3曲も美声を披露してくれるあたりは、もう完全にファンサービスだったし!
一方で肝心の謎の方は、ちょっとわかりにくくて……。
法水は記憶を無くしていても、"延髄"で推理しちゃうので、そのへんは問題ないんですが。
プラズマとかフィフス・エレメントとか、科学なのかスピリチュアルなのか分からない要素も出てくるし。
途中、宗教批判?みたいな(酷い目にあっている人はたくさんいるのに、神は助けてくれないみたいな)、少し重めの話にもなったりして。
結局、法水の記憶喪失は最後まで治らないんだけれど、事件は一応解決して楽しいエンディングを迎えるし。
なんかとても不思議なテイストの舞台でした。
不思議といえば、舞台が通常のステージから大きく半円状に張り出していて、だからF列が最前列になるんですが、張り出した割に、舞台後方はほとんど使わないという演出で。
何で多くの客席を潰してまで、あんなセットにしたんだろう?
まあその分、近くで観られて良かったんですが(笑)。