作: アーサー・ミラー
翻訳: 広田敦郎
演出: ショーン・ホームズ
出演: 段田安則、鈴木保奈美、福士誠治、林遣都、鶴見辰吾、高橋克実、町田マリー、皆本麻帆、安宅陽子、前原滉、山岸門人
観劇日: 2022年4月12日(火) 13:00
上演時間: 第1部(65分) / 休憩(20分) / 第2部(75分)
劇場: PARCO劇場
チケット代: 11,000円(F列) [パンフレット代:1,500円]
【感想】
一昨年(2020年)のスジナシで、舞台進出にも意欲を見せていた鈴木保奈美さん。
段田安則さんもお久しぶりですね。
設定は1950年のアメリカですが、つい最近の日本の話かと思うような内容で……。
ウィリー(段田安則さん)は地方を旅するセールスマン。
しかし、もう63歳で、かつてのような成績も上げられず、給料も減らされて、さまざまなローンの返済にも困っている状況です。
二人の息子(福士誠治さん、林遣都さん)は30を過ぎても、まともな仕事に就かず、家族の関係は微妙になっています。
そのせいもあるのか、最近のウィリーは独り言も多く……。
アメリカって、広い家に住んで、仕事も合理的にステップアップしていくみたいな印象を持っていたので(まあでもよく考えれば、そんなアメリカ人ばかりじゃないはずだけど)、何十年も同じ会社で、しかも条件が悪いのに居続けるっていうのが、とても日本的に見えてしまいました。
家のダイニングキッチンもアメリカっぽくなくて。
細かいですけど、キッチンの戸棚が開き戸じゃなくて引き戸になっているところとか。
まあそれはさておき。
”老兵”って言葉がありますが、ウィリーはまさにその状態。
鬱なのか認知症なのか、しばしば差し込まれる妄想とも思い出とも取れるシーン。
会社のため、家族のために働いてきた男の悲哀が滲んで、いたたまれなくなってきます。
唯一、妻(鈴木保奈美さん)だけが、ずっとウィリーの味方であり続けているのが救いだったかな。
でも、それもビフ(福士誠治さん)との関係が悪化した原因を知らないからだけかも。
舞台の中央には、黄色い冷蔵庫が置かれていて、それは幸せな家庭の象徴のようにも思えますが、エンディングでは……。
近年、”老害”なんて嫌な言葉が流行ってますが(確かに老害と呼びたくなる行為も多いでしょうけど)、これまで頑張ってきた人に対して、もっと優しくしてあげてほしいと、老兵になりつつある私は思うのでした。
※この作品って、最近では風間杜夫さんが演ってましたよね。NHKで放送していたのを録画してたはずなので、あとで観てみようと思います。