原脚本: 黒澤明、小國英雄、橋本忍、菊島隆三
脚本: 齋藤雅文
上演台本: 齋藤雅文、赤堀雅秋
演出: 赤堀雅秋
出演: 早乙女太一、倉科カナ、中島歩、長塚圭史、久保酎吉、赤堀雅秋、銀粉蝶、佐藤直子、山本浩司、水澤紳吾、西本竜樹、永岡佑、新名基浩、清水優、川畑和雄、新井郁、井上向日葵、小林諒音、相田真滉、松川大祐、村中龍人、荒井天吾/田中誠人(Wキャスト)
観劇日: 2023年3月5日(日) 13:00
上演時間: 2時間15分(休憩なし)
劇場: KAAT 神奈川芸術劇場 ホール
チケット代: S席 8,500円(13列) [パンフレット代:1,800円]
【感想】
赤堀雅秋さん演出なので、『蜘蛛の巣城』というタイトルでも、現代劇なんだろうなと思ってチケットを取りましたが、ガッツリ時代劇でした 笑。
しかも、元は黒澤明監督の映画と知ってビックリ。
しかも、マクベスを下敷きにしていると知って、更にビックリ。
いやあ全然知りませんでした 恥。
そんな作品を赤堀さんが、どのように演出するのか?逆に楽しみになってきました。
世は戦国時代。
蜘蛛の巣城の一の砦の大将・鷲津武時(早乙女太一さん)と二の砦の大将・三木義昭(中島歩さん)は、攻め込んできた細川家の大軍を激しい戦いの末、見事に退けてしまいます。
しかし、戦いの後、二人が森の中をさまよっている時、もののけ(銀粉蝶さん)から予言めいたことを告げられます。
その予言を信じ武時と妻の浅茅(倉科カナさん)は……。
つまり、武時(早乙女太一さん)がマクベスで、浅茅(倉科カナさん)がマクベス夫人、三木義昭(中島歩さん)がバンクォーってわけですね。
魔女は3人じゃなくて、銀粉蝶さん1人だけでしたが。
設定を時代劇にしただけで、マクベスがグッと身近に感じられます。
『NINAGAWA・マクベス』も日本に舞台を置き換えてますが、蜷川さんの方は文学的なのに対し、『蜘蛛の巣城』は大衆娯楽って感じでしょうか。
ただ、笑うようなシーンはほとんどなく(数箇所だけクスッとするところはありましたが)、シリアスな場面が2時間15分のノンストップで続きます。
でも、集中力が途切れるような感じはしませんでしたね。
いつもの赤堀雅秋さんの色が、いい意味で抑えられていて、とても観やすかったです。
早乙女太一さんと倉科カナさんが中心となって、物語は進んでいきますが、このお二人の表情の変化が素晴らしくて。
最初は主君に忠誠を誓う、爽やかな大将といったイメージの早乙女太一さんが、予言を遂行していくうちに、どんどん狂気じみていく様は見事。
残念ながら、華麗な殺陣のシーンはほとんどなかったですが、義昭の幻覚(亡霊?)に切り付けるところなんかは、まるで本当に義昭のカラダを刀がすり抜けてしまったかのように見えて。
がむしゃらに刀を振っているようで、義昭に当たるか当たらないかのギリギリを通しているあたりは、やはり凄いですね。
倉科カナさんも、揚げひばりを優しく見上げている姿から、何かに取り憑かれたかのように武時を焚き付けていくといった変わりようには、鬼気迫るものがありました。
まあ、基本、マクベス通りに進んでいきますが、最後はちょっと違っていて。
ここから先は、ネタバレになるかもしれないので、念のため、ご注意を。
------- 以下、ネタバレ ----------