やっぱし舞台が好き!

芝居、ミュージカル、バレエ、ダンス、クラシック、コンサートなどの舞台観賞が大好きです。 観劇の個人的な感想をつらつらと書いてます。 たまに、ちょっとした体験談や気になったことも・・・。

高橋克実

【観劇】リア王

リア王

作: ウィリアム・シェイクスピア
翻訳: 松岡和子
演出: ショーン・ホームズ
出演: 段田安則、上白石萌歌、江口のりこ、田畑智子、高橋克実、浅野和之、小池徹平、玉置玲央、入野自由、前原滉、盛隆二、平田敦子、秋元龍太朗、中上サツキ、王下貴司、岩崎MARK雄大、渡邊絵理
観劇日: 2024年3月20日(水) 18:00
上演時間: 第1部(90分) / 休憩(20分) / 第2部(65分)
劇場: 東京芸術劇場 プレイハウス
チケット代: 10,000円(D列) [パンフレット代:1,800円]


【感想】

『リア王』って四大悲劇に入っているし、とてもよく知られた物語なのに意外と上演されてない印象があります。
まるでベートーベンの『運命』みたいに。
まあ両方とも、私が知らないだけで、結構上演されているのかもしれませんが。
ちなみに私は「彩の国シェイクスピア・シリーズ」の2008年版(リア王:平幹二朗さん、コーディリア:内山理名さん)以来です。

王位を退く決意をしたリア王(段田安則さん)は、領土を三分割し、三人の娘に分け与えようとしました。
長女(江口のりこさん)と次女(田畑智子さん)は口先だけの美辞麗句を並べ立て、王を喜ばせましたが、三女のコーディリア(上白石萌歌さん)はうまく言葉にできなかったため、城から追放されてしまいます。
その後、リア王は長女と次女のもとを訪ねますが、邪魔者扱いされたことに腹を立て、嵐の中、荒野に出て行ってしまいます。
荒野を彷徨った挙句、ようやくコーディリアと再会し……。

むかーし、学校で習ったあらすじはこんな感じ。
でも、私は長いこと「コーディリアの真の愛に気づいたリア王は改心し、その後、コーディリアと幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし」で終わるものと勘違いしてました。
舞台を観るようになって、こんな終わり方だったのかと仰天したり(考えてみれば、"めでたしめでたし"じゃ悲劇じゃないですもんね)、エドマンドの謀略の物語などがあることを知りました。

演出のショーン・ホームズさんは、これまでに『桜の園』『セールスマンの死』『FORTUNE』を観てますが、幕が上がった時、一目で「あぁ今回はこの手できたか」っていう演出で……。

ここから先はネタバレ含みますので、ご注意を。


-------- 以下、ネタバレ --------------------

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【観劇】橋からの眺め

橋からの眺め

橋からの眺め

作: アーサー・ミラー
翻訳: 広田敦郎
演出: ジョー・ヒル=ギビンズ
出演: 伊藤英明、坂井真紀、福地桃子、松島庄汰、和田正人、高橋克実
観劇日: 2023年9月4日(月) 13:00
上演時間: 1時間40分(休憩なし)
劇場: 東京芸術劇場 プレイハウス
チケット代: S席 11,000円(A列:最前列) [パンフレット代:1,500円]


【感想】

伊藤英明さん、13年ぶりの舞台とのこと。
2010年の『ジャンヌ・ダルク』(堀北真希さん主演)は、私も観ましたが、あのガタイに似合わず、気弱で頼りないシャルル7世を好演されていたのを思い出します。
何かのインタビューで見ましたが、初舞台の初日にセリフが飛んでしまったという経験があるらしく、それ以来、舞台に苦手意識を持ったのだとか。
そんな話を聞いていたからか、どこかまだ固さが取れてない感じがしないでもない。
それは、まだ開幕して間もないから?それとも、翻訳劇特有のセリフ回しのせい?
いや、おそらく、最前列の誰かが、オナラを何発もしていたから(こんなの初めてでビックリ)、それに惑わされたに違いないと思います 笑。

ニューヨーク・ブルックリンの波止場で働くイタリア系アメリカ人のエディ(伊藤英明さん)。
狭い地下のアパートで、妻のビアトリス(坂井真紀さん)とビアトリスの姉の子である姪のキャサリン(福地桃子さん)と暮らしています。
そこにビアトリスの従兄弟・マルコ(和田正人さん)とロドルフォ(松島庄汰さん)が、密入国でやってきますが、キャサリンがロドルフォに惹かれ始め……。

エディは、幼くして孤児になったキャサリンを溺愛しています。
キャサリンも、結構、ベッタリとエディに懐いている感じ。
17歳にもなって、飛びついて抱きついたり、膝の上に乗っかったりというのは、スキンシップが当たり前のアメリカでは普通のことなのか?ちょっと私には判断がつきませんでしたが、やはり近すぎる感じもします。
ビアトリスは、キャサリンを"大人の女性"として扱おうとしますが(エディにもそうさせようとしますが)、エディはいつまで経っても、まるで"赤ちゃん"を庇護するように接します。

序盤は、翻訳劇特有のセリフ回しが多くて、キャスト陣もちょっと喋りにくそうだし、聞いてるこちらも、意味を理解するのに若干のタイムラグがありましたが、マルコとロドルフォが現れたあたりからは、ぐんぐんと物語が加速して引き込まれていきます。

キャサリンを愛するあまり、ロドルフォと引き離そうとするエディ。
弁護士(高橋克実さん)に相談しても、解決は難しいと言われてしまいます(ちなみに、この弁護士がストーリーテラー)。
周りから責められるエディですが、私はエディの気持ちはわかりますけどねぇ。
確かに干渉しすぎるきらいはあるものの、娘に対する男親って、多かれ少なかれこんなもんじゃないかと思うのですが(とはいえ、私は独身ですけど)。
もしかして、その想いは、娘ではなく"女性"として見ていたのでは?と勘繰ってしまいそうになりますが、やはりそんなことはないと信じたいです。
兎にも角にも、エディは終始一貫して、キャサリンのことを想っていることには変わりありません。

一方、キャサリンは、ロドルフォには「エディは本当にいい人。エディのことは本当に好きなの」と言っているくせに、エディからロドルフォとの仲を反対されると「あなたはネズミよ」と罵ったりして、そこらへんの感情の振れ幅には、私はついていけないというか。
ビアトリスにも、似たようなことを感じてしまいました。

最後は、エディの想いが、ある行動を起こさせ、それが悲劇につながっていきます。
アーサー・ミラーの作品は、『セールスマンの死』とか『みんな我が子』などを観てきましたが、最後がどれも悲劇的ですよね。

さて、エディを演じた伊藤英明さん、まだ固さは感じられたものの、それが不器用な肉体労働者に合ってて(だから固いように見せてる演技なのかも)。
粗野な雰囲気は、役と見事にマッチしてました。
序盤では見事な肉体美も。『海猿』の時の筋骨隆々からは、だいぶ細くなってましたが、これくらいの方がいいです。あまり鍛えすぎると、返って役の幅が狭くなると思いますし。

キャサリン役の福地桃子さんは、実年齢は25歳らしいですが、少女から大人に変わり始める微妙な年代がピッタリで。
滑舌もいいし、今後も舞台で活躍してほしいです。

坂井真紀さん、高橋克実さんは、さすがのベテラン感。
高橋克実さんは、物語にはあまり関わってきませんが、それでもそこにいるだけで安心感があるというか。

ロドルフォ役の松島庄汰さんも良かったですね。
いかにも"弟"って感じの、そして"今時の若者"って感じの奔放さが出てました。

兄役の和田正人さんは、テレビで見るよりガッシリした体格でちょっとビックリ。
劇中では、エディより力があるという設定なので、トレーニングしたのかな?
みんなに気を使って、この中では一番マトモに見えていたのに、最後は悲劇の引き金を引いてしまうという、その落差が見事でした。

舞台セットは、奥行きが狭く、横に長い、エディの家の中のワン・シチュエーション。
上から照明が下がっていて、それがシーンに合わせて上下します(『ラビット・ホール』の構成に似てるなと思いました)。
一番低い時は、演者が屈まなくてはいけないくらい。
その窮屈さが、物語と相まって、観ているこちらも圧迫されてしまいます。
橋からの眺め

正直、移民問題とかは、あまりピンときませんでしたが、濃密な人間模様はとても見応えのある舞台でした。

【観劇】帰ってきたマイ・ブラザー

帰ってきたマイ・ブラザー

作: マギー
演出: 小林顕作
出演: 水谷豊、段田安則、高橋克実、堤真一、寺脇康文、池谷のぶえ、峯村リエ
観劇日: 2023年4月19日(水) 13:00
上演時間: 1時間35分(休憩なし)
劇場: 世田谷パブリックシアター
チケット代: S席 11,000円(F列) [パンフレット代:1,000円]


【感想】

私、残念ながら『相棒』は観たことありません。すみません。
キャストがどうと言うことではなく、単に、テレ朝のドラマ(特に警察モノ)が苦手で 笑。
それに長くシリーズ化されていると、途中から観ても……って感じもあるし。
なので、私にとっての水谷豊さんは、『傷だらけの天使』『熱中時代』の印象が今でも強く残っています。
個人的には『男たちの旅路』が好きでした。
あの頃の水谷さんは、当時の"ちゃらちゃらした今どきの若者"って感じがよく似合ってて。
それが幼心にもカッコよく見えて、まさに昭和のスターでした。
そんな憧れの水谷さんの芝居を生で観られるなんて!

時は2023年。場所は浦賀にあるホールの控室。
解散して40年が経つ四兄弟のコーラスグループ「ブラザー4(フォー)」。
昔歌ったCMソングが、最近、SNSで話題となり、久しぶりに集まって復活コンサートをすることになりますが……。

いわゆる、バックステージもののお話です。
長男・ハジメが水谷豊さん、次男・信二が段田安則さん、三男・裕三が高橋克実さん、末っ子・四郎が堤真一さん。
誰一人、全然似てないですけど 笑。
そして、現役時代からのマネージャー・に寺脇康文さん。
それにしても、皆さん、私と同年代かそれ以上ですが、イケおじですねぇ
とても豪華な顔ぶれですが、水谷豊さんを囲むには、これくらいの面々じゃないと。

冒頭では、姪や甥の名前を間違えたり、毎朝健康のために飲んでいるものの名前が出てこなかったりと、おじさんあるあるで笑わせてくれます。
このフリ、万一、台詞が飛んだ時でも大丈夫ですね。

峯村リエさんと池谷のぶえさんは、このコンサートを実現するにあたり、署名活動をしたりと、子供の頃からの熱狂的ファンの姉妹です(他にもラジオパーソナリティなどの役も)。
この二人が強烈キャラで、実にいい仕事をしています。
何か、観客の我々にではなく、水谷さんを笑わせにかかっている感じも。

水谷さんも、時折、素のニコニコが出て、とても楽しんでいるように見えました。
舞台は20年ぶりくらいとのことでしたが、とても自然で。
相手の話に、小さく「うん、うん」と相槌を打つなんて、あまり舞台では観たことない(聴いたことない)演技も。

物語では、いろいろとハプニングが起きますが、それでも四兄弟にはギスギスしたところはなくて、終始、微笑んで観ていられるハートウォーミングの舞台でした。

最後は、復活コンサートで、4人が真っ赤なタキシードに身を包んで、歌声を披露してくれました。
曲は「マイブラザー」(この舞台のオリジナルソング)。
パンフレットに歌詞が載ってたんですが、
照れくさいけど 今 はじめゆうぞ
君の声 しんじてはしろう
と4人の名前が入ってるじゃないですか。

カーテンコールでは、「バン・バン・バン」も歌ってくれて(寺脇さん、峯村さん、池谷さんも参加して)、立ち見も出るほど詰めかけたおじさん・おばさん達は大喜びでした。

【観劇?】いきなり本読み! in 東京芸術劇場(DAY2)

IMG_20221226_0001いきなり本読み! in 東京芸術劇場

進行・演出: 岩井秀人
出演: 松本まりか、青木崇高、高橋克実、じろう(シソンヌ)、海宝直人
演奏: 佐山こうた
観劇日: 2022年12月25日(日) 12:30
上演時間: 約3時間半(途中15分休憩)
劇場: 東京芸術劇場 プレイハウス
チケット代: S席 7,800円(F列) [パンフレットなし]


【感想】

今年の観劇納めは、昨年と同じく『いきなり本読み!』(昨年の感想はこちら)。
場所を東京芸術劇場に移しての開催です。私は2日目の方に参加しました。

このシリーズは、WOWOWで放送されたのも含め、いくつか観てますが、今回は間違いなく"神回"になったんではないでしょうか。
いつもなら、何の脚本を演るのか、始まらないと観客にも分かりませんが(最後にタイトルを言うのが通常)、今回はホワイエで今日の演目として『おとこたち』の脚本が売られているではないですか。
この作品、来年3月にPARCOで上演予定らしく、なるほど、こりゃいい宣伝にもなるなと。
おとこたち
しかもミュージカルとして上演するらしく、それで今回、海宝さんをキャスティングした魂胆も分かりました

さて、岩井さんと各キャストが登場するとすぐに開始。まさに「いきなり」!

松本まりかさん:彼女の特徴といえば、やっぱし声。ちょっとアニメのような"甘えた声"なので、どうしてもキャラが限られてしまうような感じもしてしまいます。この日も男性役をふられた際には自信なさげでした。確かに酔っ払った演技は「ん?」っとも思ったし、自分でも途中で読むのをやめて「うまくできない」嘆いていましたが、女性役の演技はピカイチ!静かな怒りが、もう怖くて怖くて 笑

青木崇高さん:まりかさんとは反対に、酔っ払った演技がピカイチ!基本、"熱い男"というイメージを保ったまま、様々な役をすんなりとこなす演技力は流石です。左手にギプスをしてましたが、それすらも酔って怪我したのか?と思わせるほど(どうしたんでしょうか?)。

高橋克実さん:ご家族や奥さんのママ友たちが観にきているという中、若い女性との不倫現場を演じなければいけないという悲劇 笑。でも、やっぱしベテランですねえ、硬軟とり混ぜた演技力は凄いの一言です。海宝さんとのハモリは笑ってしまいましたが。

じろうさん:芸人でありながら、誰よりもソツなくこなしていました。改めて聞いたら、声がいいですよね。コントで女性役をする時は、かなり誇張してますが、この日はおふざけなしで。先日『温暖化の秋』も観ましたが、今後も役者として活躍していくんでしょうね。

海宝直人さん:あらためて海宝さんのポテンシャルの高さに驚きました。後半、キーボード演奏の佐山さんが参加され、途中のセリフが"歌"に変わるという無理難題にも、難なく応えてしまうという……しかも美声で。なんかプロの凄さを思い知らされました。歌だけじゃなくて、ナレーションセリフも完璧だし、そのオールマイティな実力に感動すら覚えました

いつものことながら、いくつかの"場"をチョイスしての本読みなので、物語としてはダイジェストでしか分かりませんでしたが、笑いどころあり、シリアス場面ありで、岩井さんの術中にまんまとはまって、来年上演の『おとこたち』を観に行きたくなってしまいました。

そして、いつものことながら、役者さんたちの瞬時に役を掴み取って表現するという"瞬発力"の凄さ!
同じ役でも弱々しく表現したり、逆にサイコパス的になったりと、人によって解釈が異なるというのも、観てて興味深いところです。

次回も楽しみにしています。

【観劇】セールスマンの死

セールスマンの死

セールスマンの死

作: アーサー・ミラー
翻訳: 広田敦郎
演出: ショーン・ホームズ
出演: 段田安則、鈴木保奈美、福士誠治、林遣都、鶴見辰吾、高橋克実、町田マリー、皆本麻帆、安宅陽子、前原滉、山岸門人
観劇日: 2022年4月12日(火) 13:00
上演時間: 第1部(65分) / 休憩(20分) / 第2部(75分)
劇場: PARCO劇場
チケット代: 11,000円(F列) [パンフレット代:1,500円]


【感想】

一昨年(2020年)のスジナシで、舞台進出にも意欲を見せていた鈴木保奈美さん。
段田安則さんもお久しぶりですね。
設定は1950年のアメリカですが、つい最近の日本の話かと思うような内容で……。

ウィリー(段田安則さん)は地方を旅するセールスマン。
しかし、もう63歳で、かつてのような成績も上げられず、給料も減らされて、さまざまなローンの返済にも困っている状況です。
二人の息子(福士誠治さん、林遣都さん)は30を過ぎても、まともな仕事に就かず、家族の関係は微妙になっています。
そのせいもあるのか、最近のウィリーは独り言も多く……。

アメリカって、広い家に住んで、仕事も合理的にステップアップしていくみたいな印象を持っていたので(まあでもよく考えれば、そんなアメリカ人ばかりじゃないはずだけど)、何十年も同じ会社で、しかも条件が悪いのに居続けるっていうのが、とても日本的に見えてしまいました。
家のダイニングキッチンもアメリカっぽくなくて。
細かいですけど、キッチンの戸棚が開き戸じゃなくて引き戸になっているところとか。
まあそれはさておき。

老兵”って言葉がありますが、ウィリーはまさにその状態。
鬱なのか認知症なのか、しばしば差し込まれる妄想とも思い出とも取れるシーン。
会社のため、家族のために働いてきた男の悲哀が滲んで、いたたまれなくなってきます。
唯一、妻(鈴木保奈美さん)だけが、ずっとウィリーの味方であり続けているのが救いだったかな。
でも、それもビフ(福士誠治さん)との関係が悪化した原因を知らないからだけかも。

舞台の中央には、黄色い冷蔵庫が置かれていて、それは幸せな家庭の象徴のようにも思えますが、エンディングでは……。

近年、”老害”なんて嫌な言葉が流行ってますが(確かに老害と呼びたくなる行為も多いでしょうけど)、これまで頑張ってきた人に対して、もっと優しくしてあげてほしいと、老兵になりつつある私は思うのでした。


※この作品って、最近では風間杜夫さんが演ってましたよね。NHKで放送していたのを録画してたはずなので、あとで観てみようと思います。
写真AC
趣味で撮影した写真を
「写真AC」

に掲載しています。
無料でダウンロードできますので、よかったら覗いてみてください。

私の作品は、
ここからどうぞ!


※ 資料用としてアップしたものも多いので、「何じゃこりゃ」って写真も多々ありますが。
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